松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



簡単なようですが。

松屋長春は彼岸だんごをつくりません。

唯一、お得意様である一宮市のお寺さんの特別注文だけ毎年二回ずつお承りしています。


本日もいつものように、これからお届けしてくるところです。


外のこなし生地、中のあんを二種用意しました。

お客様から私どもの仕事を眺めていただきますと、和菓子職人とは様々な技術を持ち色鮮やかな和菓子を毎日つくっているのだろうと常々ご想像されているのだろうと思います。

もちろんそうでありますが意外に感じてもらえるのではないか。そう思っていただける技術の一つに真円があります。

和菓子をまんまるに仕上げる事がどれほど難しいのかをご存知の方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

だだ単に粘土を真円にするのだけでもとても困難を極めます。その上、あんを中心にこなしで包んだ時に頂点をそのまま保ちながら真円に仕上げるのは非常に難しいのです。

また、こなしの表面もしっかりツルツルにしなければなりません。

1枚目の写真が私が短時間で一生懸命仕上げた真円です。

それでも完全なる真円ではありません。それはまだまだ私の技術不足ではあると思います。

美しくお客様に魅せる事。それを達成するには手早い作業、確かな技術が必要なのです。

寿司業界と同じく、素材は長い間手に持っている事はタブーとされています。それは手の温かみが素材の腐食を助長するからであります。

綺麗に仕上げるだけではなく、迅速な作業や技術を磨く事に私たちの職人としての重要な役割がある事を広く知っていただけましたらと感じ、本日はこのようなおはなしを書いた次第です。

一見、かんたんに見えるものは苦労せず容易く出来上がるものだと捉えがちではありましょうが、そのようなシンプルなものにこそ奥行き、奥深さがあるのではないでしょうか。

本日の茶席菓子

本日は国府宮神社にて月に一度の茶会が催されます。


十五夜はすでに過ぎ去っておりますが、ご担当の先生たってのご希望で月とすすきをテーマに、この羽二重餅製の生菓子をつくりました。

先生からお話を聞きましたところ、ちょうどご還暦を迎えられたそうで、ご来席のお客様にわからないようにこそっと自分を祝う気持ちで、備中白小豆こしあんを紅色に染めて欲しいとの事でした。

私がここで詳しく書いてしまいましたが、茶会へお出かけされる方、今しばらく先生には内緒でお願いいたします。

この茶席菓子、お店でも販売いたします。ご購入ご希望のお客様におかれましては、店頭にてお尋ねいただけましたらと思います。

小さい秋みいつけた

「だれかさんが だれかさんが

だれかさんが みつけた

ちいさい あき ちいさい あき

ちいさい あき みつけた

めかくしおにさん ての なるほうへ

すましたおみみに かすかにしみた

よんでる くちぶえ もずのこえ

ちいさい あき ちいさい あき

ちいさい あき みいつけた」

誰もが知っている童謡、「ちいさい秋みつけた」の1番の歌詞です。

知っているつもりで歌おうと思ったのですが、メロディは浮かんでも歌詞がなかなか出てきません。

小さい頃は学校の授業や、NHKの子供番組でよく聴いた覚えがありますし、おばあちゃんや母も歌ってくれていました。

しかし、私は娘たちを寝かしつける時によくNHKのおかあさんといっしょで歌われる歌は歌いましたが、童謡は歌った事があったのだろうか。

故郷の懐かしい風景が失われつつある昨今ですが、優しい記憶として覚えている童謡などもこの先消えゆく存在となりつつあるのかなぁなどと、少し寂しい気持ちになりました。


本日ご紹介するこなし製の生菓子「小さな秋」の写真を撮りながらそんな事を考えていました。

ちいさい あき みいつけた

何度聴いてもいいフレーズですよね。