松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



栗鹿の子

青海波、市松、亀甲、かごめ、千鳥などと同じく鹿の子も昔から日本人が慣れ親しんでいる伝統的な文様の1つです。

鹿の子とは字の通り、シカの子どもの事を指します。一般的には鹿の子足などという言葉もありますが、基本的には鹿の子の後に続く言葉は文様であります。

鹿の子足という言葉か出ましたので少しご説明いたしますと、足どりがおぼつかない様の事をシカの生まれたての子どもの足どりに例えているのです。

話は戻りますが、鹿の子文様は足ではなく背中のまだら模様の事を指します。鹿の背中には多くの濃茶色の斑点があります。昔の人々はこの背中の斑を図案化し、そのデザインを深く愛していたという事なのでしょう。

昔から続く、これらの文様は主に着物の図柄として使われる事が多いのでしょうが、日本の文化と密接な関係のある和菓子界でも多くこの文様を同じように使用します。



栗鹿の子。

鹿の背中のまだら模様を栗で表現した伝統的な和菓子です。