松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



こなしについてのお話

前回、着色についてのお話もしました藤しぼり。

この生地である、こなしについて少しお話したいと思います。



東京、京都でそれぞれの和菓子の勉強をした私にとってのこなし考ですが、関東圏で言う練り切りと関西圏で言うこなしは概ね同じものであると思います。

こなしと呼ぶのはこの中京圏以西に限られます。

この先はこなしとしてお話いたします。

こなしの生地はほとんどが餡で出来ています。餡そのものだけでは写真のようなしっかりとした生菓子として成り立たないために、いわゆるつなぎというものを使います。

餡はそもそも食べるとさっくりとした食感で口溶けが良いものです。それにつなぎを使用する事で成型しやすく、思った通りの色形にできるようになるのです。それが和菓子の種類の中でも一つの重要な生地の一つとして昔から伝わってきたものなのです。

もう少し話を掘り下げてみますと、先ほどお話しましたつなぎ。これがとても重要な要素であります。

餡を炊く際に熱を入れますが、その時につなぎを投入します。このつなぎ、お店によって様々で投入する材料が各店舗によって違います。これが最終的な味の違いの一つとなり、それぞれのお店の特徴となっていると思います。

そもそもつなぎは全体量の10%程度なので、ほとんどが小豆の良し悪しにも関わってくるものでありますが、10%のつなぎも大きく味を左右する事は言うまでもありません。

こなしを敬遠される方が多いのはこの味と食感が大きな原因となっているのではないでしょうか。

松屋長春のこなしは世界最高の小豆の一つである岡山県産備中白小豆を使用し、つなぎの原材料はここでは敢えて書きませんが、先代から伝わる厳選したものを使っております。

一度是非お試しいただきたい当店自慢の生地の一つであります。