松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



葛の生菓子

おはようございます。

いよいよ夏らしくなってまいりました。

あんを炊く大釜担当の私にとっては、とてもキツい季節でもあります。50度まではいきませんが40度台の灼熱と蒸気の湿気に長い間耐えなければなりません。

我慢の夏であります。

さて、涼しげな和菓子でも。



現在、葛を使った生菓子は三種お出ししております。

葛焼き

レモンを使った星の光

桜の葉の香りも青いくず桜

やはり暑い季節にはひんやりとしたものがお口には合うようです。

世間では葛と言っても本葛でないものも多くありますが、本葛の特徴はでんぷん質であるため、冷蔵庫で冷やし過ぎますと白濁してまいります。冷蔵庫で冷やす際は30〜40分程度までとするのがよろしいのではないかと思います。

こしあんはつらいよ 第二部



昨日の続きです。

柔らかく炊き上がった小豆を皮と中身のごと言われるこしあんのもとに分けたところです。

表面の泡はいわゆるアクやエグミです。これをしっかり取り除かないとすっきり、あっさりとした口溶けのよいこしあんは出来ません。

何度も水に晒します。



昨日、絞り袋に入った写真を掲載しましたが、その絞り袋ごとこの機械で一気に水抜きします。



ここでやっと生あんが出来上がりました。

最終的にこの生あんと砂糖を入れ、こしあんを炊き上がげるのです。



昨日仕上げたこしあんです。

納得のいく仕上がりとなりました。

こしあん、粒あんは教科書通りに仕上げるのが一般的であります。

私もそう教わってきましたし、私の知る限りではそれ以外の仕上げ方を見た事はありません。

しかし、長年小豆に携わって自分なりにわかってきた事が多くあり、今では独自の仕上げであんと向き合っています。

最高の材料を手に入れる事はとても重要で最優先事項でもありますが、その材料をいかに上手に仕上げるのかという事も同じくらい大切であります。

いい材料、そしてそれを最高のものにする技術や経験。二つが合わさってやっと美味しいものがご提供できるのだと思います。

こしあんはつらいよ 第一部

おはようございます。

本日はこしあんを仕上げる日。



丸一日水に浸しておいた北海小豆。



火にかけ



充分に渋みやえぐみを流水で洗い流します。



こしあんにするにはこの機械が必要となります。

小豆を皮と中身に分けるものです。



絞り袋でこれから絞ります。

皮は勿体ない気もしますが、捨ててしまいます。

このこしあん、粒あんに比べてものすごく力が必要です。

水を含んだこのこしあんのもとはおおよそ50〜60キロほどあります。

それをよいしょと持ち運びしなければなりません。

和菓子職人はよく人から繊細な仕事だとか力を使わないとか言われますが、実は泥臭く汗臭い仕事も頻繁にあるのです。

よって腰痛持ちの職人も多いのが現実です。

近頃、私も腰の痛みに悩まされています。

一番力を使う仕事がこのこしあんづくりではないかと思っています。

結局表題のこしあんはつらいよ。に行き着くのです。

こしあんづくりは一日がかり。後半はまた明日。