松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



歯を食いしばれ

東京で和菓子道に励んでいる長女が電話口で泣いていました。

これで4月から社会人となって三度目。

なんでもないような用事で娘に電話をかけたところ、溜まっていた苦しみが堰を切ったように流れ出てしまったのでしょう。

私自身も何度も経験があり、その気持ちが手に取るようにわかるので、危うく私も一緒に泣きそうになりました。

誰にでも辛抱しなければならない時は幾度となくやってくるものです。その波を苦しみながらも乗り越えるうちに精神的に成長していくものです。そして精神的に成長した暁には、同じように和菓子の技術も成長している事に気付くものだと思います。

今はとても辛いとは思いますが、不平不満を聞き少しでも彼女の心が落ち着くようにと。私はただそれだけを念じながら電話を切りました。

胸が張り裂けそうになりました。



電話を切った後でこの写真と私の心のメッセージを送りました。

「私も毎日大変な事ばかり。おまえも大変な事ばかりだろうけれど、笑顔だけは絶やさずに人の役に立てるよう精進しなさい。」

今は歯を食いしばる時なんです。

そう言いながらも今夜は全く元気が出ない私です。

半年以上、東京へは行っていないほったらかしの父親ですが、10月半ばに娘に会いに行く約束をしました。

その時には思いっきり抱きしめてあげたいです。