松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



涙に嘘偽りはありません

私の京都の修行先の会、「末富会」へ先日参加してきました。



私が今回とても印象的だったのは、大奥様(私がお世話になっていた頃の奥様)が何度も何度も繰り返し繰り返し、

「今の末富があるのは末富のために一生懸命働き、助けてくれたみなさんのおかげです。それしかありません。本当に今までありがとう。」

そう仰った言葉です。

涙を浮かべてそうお話しされていた奥さんの言葉には一片の曇りもなく、心からそう思っていらっしゃる事が私の心にもストレートに響きました。

商売というものは贔屓にして下さっているお客様全てに支えていただき成り立っていられるのであり、お店の土台をどっしりとしっかりと支えてくれる皆が頑張ってくれているからこそお店は成り立っていられるのです。

これはどのパズルのピースが欠けていても成り立たないものなのです。


奥さんの言葉、気持ちがずっしりと私に響きました。

いつもそう思っていたつもりでも、奥さんが涙を持ってそうお話しされたのを聞き、もう一度再確認した次第です。

涙に嘘偽りはありません。

末富の126年という長い歴史の中の一員でいられた事をとても誇りに思う瞬間でもありました。

私の記憶では旦那さん(大旦那)である山口富蔵氏が古希を迎えられた際に合わせて開かれた「末富会」が前回開催だったと思います。それが10年前でしたが、私は仕事の都合で参加できませんでした。

そのような事で今回は15年以上ぶりの末富会参加となりましたので、とても楽しみにしていました。なにせ、苦楽を共にしてきた修行仲間や可愛がってくださった従業員の方々にお会いできる会でしたので。

たくさん写真を撮りたかったのですが、なかなか時間を取る事が出来ず、一部の人しか撮れませんでしたが。


左から

末富にお世話になって一番最初に教えて下さった職人さんの義久さん。私たち修行の者たちは皆、義久さんの事をよっさんと愛情を込めてずっと呼ばせてもらっています。私たちの兄貴分のよっさんです。そして、2年先輩の山手さん。山手さんは九州、福岡で花房屋という和菓子屋を営んでおられます。彼は私の大の仲良しでした。


辻調理師専門学校の和菓子の先生、金澤さん。私の後輩ですが、今は辻調理師専門学校の和菓子講師の最高責任者として頑張っておられます。


先日、松屋長春のブログでも触れましたが、樹木希林さん主演の映画「日日是好日」にも菓子を提供された北鎌倉のこまきのご主人、駒木さん。そして私が尊敬して止まない先輩、栃木県宇都宮市で和菓子屋を営まれている柿沼さん。柿沼さんのお店は「とらや弥生」と言います。右端は私の仲良しの後輩、森くん。森くんのお店は私と一番近いところにあり、隣市の江南市にお店を構える「柏屋」。森くんは家同士が近いこともあり、定期的に交流している同志でもあります。


私の同期、駒林くん。彼は現在末富の番頭さんとして活躍されています。


最後の写真の真ん中は末富の職長、上辻さん。上辻さんがどっしりと構えていらっしゃったからこそ、末富の美しい菓子たちがこの世に広く送り出されていた事を私は知っています。フレンドリーでありながらとても厳しくも接して下さった職長。今でも上辻さんはまだ現役でご活躍されています。

末富会の最後に大旦那(山口富蔵会長)からこちらを


いただきました。

末富の包装紙の図柄と色合いをそのまま扇に落とし込んだものです。

箱を開けてこの扇が出てきた時、旦那さんの心意気や和菓子への思いが一杯に詰まったものである事がこちら側に刹那に伝わってきました。とても嬉しく、また幸せに思いました。

これからずっと大切に使わせていただきます。

今回の末富会は今までの末富会とは全く違い、感謝の気持ちが参加者である私たちにとても強く響いた会でありました。

大旦那さん、大奥さんから受け継いだ教訓などを自分なりにしっかりと咀嚼して今後のお店の在り方、私の生き方に生かしていきたいと思います。

心から人を好きだ。そう思えた二日間でもありました。