松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



青くどこまでも優しい香り

稲、つまり米は日本人にとっては一番欠かせない主食であります。

都会では田んぼでの田植えや稲刈りなどは当然見ることはできませんが、少し郊外へ足を延ばせば容易にそのような風景を見られます。

無意識のうちにその情景は普段あるものとして私たちの脳に組み込まれていて、特段に気をするようなものではないかもしれませんが、私はこの稲こそ日本で一番の風景ではないかと思っています。

もちろん桜も秋の紅葉も日本を代表する情景ではありましょうが。

私が住む稲沢市では田植えが始まっております。四季の中で最も生命感あふれる季節が今です。

大きな川から用水に水を引き込み、田んぼに水がしっかり張るようになりますと、生き物がどこからともなく集まるようになり、その生き物を求めて白サギのような大きな鳥たちがやってきます。

川には産卵のため、大きな鯉やフナやナマズが遡上します。

これが生き物たちのシンフォニーであると川や田んぼが教えてくれます。最も身近な生き物たちの生活なのです。

私が最も愛するこの情景です。

目を閉じれば、青くどこまでも優しい香りまでも鮮明に思い出す事ができるほどであります。

前置きが長くなりましたが



早苗と銘打ってお店に並びました。

先程お話しました、この時期だけの瞬間の生菓子です。