松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



笑い声が切なく感じたのは初めてです

映画を久しぶりに観に行ってきました。



ジョーカー

狂気とも違う、ホラーとも違った悲しく切ない一人の優しい男の物語でした。

映画「ノー カントリー」でもなく、「シャイニング」でもない、どこか美しくて観終わった後に引きずる心の葛藤がこの映画には詰まっていたと思います。

ホンモノの悪は私利私欲のためでなく、生まれ持ったものでもなく、こうして生まれてしまったのだ!と映画が終わってからもずっと私の中に引きずってしまうものを残して去っていきました。

コミックを元に作られたこの映画ですが、あらゆる人に訴えかける事案があると感じた次第です。

主演のホアキン フェニックスが演じるジョーカーは私たちの持っている人間の闇の部分を隠す事なくそのまま表現してくれたのではないか、そう考えさせられました。

体調を崩してまで体重を落として挑んだこの作品は、彼を来年のアカデミー賞主演男優賞へと間違いなく誘ってくれるでしょう。

優しい一人の男がいかに悪人へとなっていったのか。

是非観るべきだと思います。

ホアキンが笑っている姿が私の心に一生こべり着くほど残りました。

苦しいとき、本当に辛いとき、追い詰められたときに人は声を上げて泣いたような笑い声を上げるのかもしれません。

久しぶりにこの映画はそんな事を思い出させてくれました。

苦をどう乗り越えるのかが、自分の中で一番肝心なのだと思っています。それを反面教師のようなこの映画に出会えて再確認しました。

自分自身のベクトルをどこへ向けるのか。それを教えてもらったような気がしました。

あの、深い悲しみの笑い声が今でも頭の中に渦巻いています。

モンスターと呼べるようなとんでもない映画俳優を知るきっかけとなった映画でもありました。

追記

今回、映画には絶対に音楽が必要だとあらためて教えられました。弦楽器とこの映画のストーリーがぴったり過ぎて鳥肌が立ったほどです。

もう一度観直したいなぁ。

今年観た映画の中では圧倒的に「グリーン ブック」が素晴らしかったですが、この「ジョーカー」も負けず劣らず凄みのあるものでした。