松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



カラヴァッジョ展

名古屋市美術館へカラヴァッジョ展へ行ってまいりました。



月曜日の天気とは打って変わり、昨日は素晴らしい晴天に恵まれました。

街や公園の木々はすでに冬支度。今はあまり見かけなくなった公衆電話が懐かしく感じました。



喧嘩っ早く、とても気難しい性格であったとされるカラヴァッジョですが、絵画に取り組むときは一心、筆に打ち込んでいただろう事が実際に絵の前に立つとビシビシこちら側の受け手に伝わってきます。

影と光をこれほどまでにアクセントを付けて表現できる画家はカラヴァッジョが初めて。バロック時代の幕開けに当時の人々は熱狂したことでしょう。

カラバッジョは写実性を究極まで高めるために、必ず描き終えるまでモデルを己の前に据え置き描き切ったそうです。

今回の展示会では説明されていませんでしたが、彼だけの手法だっのがカンバスの下地全面に茶色や赤色の絵の具を塗ってからスタートする事だったようで、それが漆黒に見える影のもととなっているのです。これが私にとっての一番の驚きでした。当時では考えられない斬新なアイデアだったのかもしれません。

また、一見すると漆黒に見えるところにも細かいタッチの筆が描き込まれていて、その繊細な心配りにもただただ感嘆するしかありませんでした。



なんと言っても「ゴリアテのクビを持つダヴィデ」

ゴリアテの表情がとても生々しく描かれており、それとはまた違ったダヴィデのやり場のない悲しげな表情が、私の心を釘付けにしました。

この絵は実はゴリアテの顔は自画像だということがわかっています。また、ダヴィデの顔も若かりし頃のカラヴァッジョだという説も強く残っています。

自分の首を自分で斬ってしまう。殺人を犯した4年後にこのような複雑な心を表したような絵を描いたことを知りますと、なんとも言えない彼の心の葛藤を現代の私たちでも知ることができます。



「メンデューサの盾」

この絵にも度肝を抜かれました。祭り用の盾に直接描いてあるメンデューサ。斬首されたメンデューサの驚きや失望感などがつぶさに感じられる作品で、平面ではない盾でなければこれほどメンデューサが前面に出てくるような表現はできなかったのかもしれません。



「法悦のマグダラのマリア」

聖母マリア様が白目を剥いて涙を流す様がとても生々しく描かれている作品です。

失望感なのでしょうか。左上には漆黒の中に十字架が描かれています。隠れたところにも全く妥協を許さない彼の性格があったのでしょう。

まだまだカルヴァッジョの素晴らしい作品がありましたが、この辺で。

この絵画展ではカルヴァッジョの影響を多大に受けた作品も多く展示されています。

感銘を受けたものを少しご紹介して本日のブログは終わりとさせていただきます。

アンヴィエ ドゥート グラマティカ、ジュゼッペ デ リベーラ。私は特に二人の作品にもとても感銘を受けました。灰色とも白色とも表現できる女性が暗がりの中から浮き出てくるような絵にはとてもびっくりさせられました。この二人にもご興味を持っていただけましたらと思います。

名古屋でのカラヴァッジョ展、残すところあと少しとなりました。

私のブログを読まれて少しでもご興味を持っていただけた方がおいででしたらお早めにお出かけ下さい。

長文をお読みいただきありがとうございました。