松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



藤紫

藤紫という色、そんな言葉がこの世にあるのかどうかはわかりませんが、藤の花というのは見る角度によって白っぽく見えたり、可愛い薄紅色に見えたり。決してカキツバタのような青勝ちの色ではありません。

私は自然が織りなす不思議な藤の花の色を「藤紫」と呼んでいます。私だけの呼び名でありますが。



羽二重餅製の生菓子の頂に藤をあしらいました。

中は丹波大納言小豆の粒あんです。

なかなか和菓子の色で「藤紫」を表現するのは難しいですが、そのニュアンスは出ていると思います。

我が家の藤の花は満開間近となりました。



この先、花房の先っぽが全て開きますと朝陽に照らし出され、もっと美しく輝くことでしょう。

今年は新型コロナウイルスの影響で桜や藤をはじめ、花を愛でるおまつりが全て中止となりそうです。

なかなか外に出かけて自然の美しさを満喫できる状況ではありませんが、こうして私の家の藤の花のたよりと私の和菓子だけでも皆さまの心に届きましたら嬉しく思います。

そんな思いでこの羽二重餅製の生菓子には「藤たより」と名付けました。

しばらくは辛抱の日々が続きます。

頑張ってこの苦しい時期を乗り越えましょう。

私も皆さまに負けないよう、頑張ります。