松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



うぐいすとほととぎす

「山ほととぎす」という松屋長春定番の蒸し菓子をお店に並べました。



「どこがほととぎすなんですか?」と言われてしまいそうですが、和菓子は想像です。イメージです。

ほととぎすという鳥は灰色ですので、本物とは大違いではありますが、夏を告げる鳥の代表格であるほととぎすを銘にあててこの菓子をつくった次第です。

一方、うぐいすという鳥は漢字で書きますと「鶯」となりますが、別名「春告鳥」と呼ばれる通り、春を告げる鳥の代表格であります。

うぐいすは別名「春告鳥」と呼ばれるのに対し、ほととぎすは夏を告げる鳥の代表格であるにもかかわらず、「夏告鳥」という異称は与えられませんでした。そう考えると可哀想な鳥かもしれません。

しかし、ほととぎすはズルい鳥でもあり、カッコウのような他の鳥の巣に自分の卵をうみつける習性があるのです。うみつけ先の巣がうぐいすのものである事が多いので、あながち可愛そうとも言えませんね。

うぐいすは挽茶色で「ホーホケキョ」と鳴くのに対し、ほととぎすは灰色で「キョ キョ キョ」と鳴きます。

季節も重なるところはあれど、少しズレがあります。

よく混同されがちなこの鳥たちですが、似てもいませんし、全く種類も違うものであります。

断然、昔からうぐいすの鳴き声は珍重されて愛されてきましたが、実際にほととぎすの鳴き声を聞いてみますと、これはこれで素晴らしい歌声なのです。

ちょうど今ごろ。山などに出かけますと、うぐいすとほととぎすの鳴き声がどちらも美しく聞くことができます。

そろそろ自然が、外出が恋しくなってきました。