松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



蒸し羊羹ってなあに?

栗蒸し羊羹



栗をふんだんに使った栗蒸し羊羹に上の白い部分は伊勢芋の蒸し生地である軽羹を合わせました。

これが松屋長春の秋の定番和菓子、栗蒸し羊羹です。

本日このブログを書いていて、また疑問が頭の中に浮かんでしまいました。

栗蒸し羊羹。

羊羹とは全く異なった原材料を使って商品まで仕上げているのですが、なぜ栗蒸し「羊羹」と呼ぶようになったのでしょうか?

見かけが羊羹のようだから、なのでしょうか?

どうしてなんだろう?

近頃、私は疑問持ち病になっているようで、なんでも解決してスッキリしないとダメなのです。

緑色のごはん

私たち日本人は白飯に慣れ親しんでいるため、ご飯はもともと白いものとして認識しています。

白飯以外のものはお赤飯や黄飯などもありますが、常食はしません。

東南アジア方面などへ行きますと、もともと黒色や紫色として色素を持つお米がありますし、インドやネパールなどはサフランで着色した黄色いごはんがあります。

そう考えますと、色の付いたご飯も珍しくなさそうです。



秋になり、松屋長春ではもち米由来の道明寺粉を緑色に着色しました。

和菓子として食していただきますので、当然お砂糖も入っております。

砂糖が加わりますと、色艶が俄然良くなりますよね。



ゆず餅として仕上がりました。

中のあんは備中白小豆こしあんに柚子の果汁をたくさん使っております。

香り豊かでモチモチの食感のこのゆず餅。次第に黄色へと変化してお店に並ぶこととなります。

簡単なようですが。

松屋長春は彼岸だんごをつくりません。

唯一、お得意様である一宮市のお寺さんの特別注文だけ毎年二回ずつお承りしています。



本日もいつものように、これからお届けしてくるところです。



外のこなし生地、中のあんを二種用意しました。

お客様から私どもの仕事を眺めていただきますと、和菓子職人とは様々な技術を持ち色鮮やかな和菓子を毎日つくっているのだろうと常々ご想像されているのだろうと思います。

もちろんそうでありますが意外に感じてもらえるのではないか。そう思っていただける技術の一つに真円があります。

和菓子をまんまるに仕上げる事がどれほど難しいのかをご存知の方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

だだ単に粘土を真円にするのだけでもとても困難を極めます。その上、あんを中心にこなしで包んだ時に頂点をそのまま保ちながら真円に仕上げるのは非常に難しいのです。

また、こなしの表面もしっかりツルツルにしなければなりません。

1枚目の写真が私が短時間で一生懸命仕上げた真円です。

それでも完全なる真円ではありません。それはまだまだ私の技術不足ではあると思います。

美しくお客様に魅せる事。それを達成するには手早い作業、確かな技術が必要なのです。

寿司業界と同じく、素材は長い間手に持っている事はタブーとされています。それは手の温かみが素材の腐食を助長するからであります。

綺麗に仕上げるだけではなく、迅速な作業や技術を磨く事に私たちの職人としての重要な役割がある事を広く知っていただけましたらと感じ、本日はこのようなおはなしを書いた次第です。

一見、かんたんに見えるものは苦労せず容易く出来上がるものだと捉えがちではありましょうが、そのようなシンプルなものにこそ奥行き、奥深さがあるのではないでしょうか。