松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



震災

映画「護られなかった者たちへ」を観ました。




 








東日本大震災を題材にした骨太のサスペンスを観ました。




震災。地震ではなく特にあの津波で亡くなった方たちの遺族たちがこの物語の軸を担っています。(フィクションであり、遺族役を有名な俳優さんたちが演じられています。)




観終えた後にとても深く深く考えさせられました。(内容は敢えて書きません。)




生活保護のこと、震災に遭われた方々の大変なご苦労のこと。




実際に震災などの自然災害によって大きな被害を被っていない私はリアルタイムで東日本大震災の事をニュースで見聞きし、その被害の甚大さなどはもちろん知っていれど、その場に居合わせたわけではありません。




被害に遭われた方々の心の傷、苦しみ辛さはわかったような気になっているだけで、その方々の気持ちには到底足元にも及びません。




フィクションながら、この映画を観た事で今でも大変な思いをされている方が多くいらっしゃるだろう事を今一度考える機会になりました。




非常に重苦しい映画ですが、正面から向き合わなければわからない事がたくさんあります。そんな意味でも是非みなさまにも観ていただきたく、この映画をご紹介する事にいたします。




阪神淡路大震災の時、私は京都で和菓子の修行真っ只中でありました。




あの揺れの大きさは今まで一度も味わった事がない、本当に恐ろしいものでした。




京都府の死者は少なかったように記憶していますが、兵庫県の死者の多さに愕然としたのを今でも鮮明に覚えています。




全ての人々の心の平和を願うとともに、いつやってくるかわからない自然災害への心の準備は決して忘れてはならない。




そうあらためて思いました。

天井

毎日まいにち。天井ばかり見て過ごしています。








実は私、先週の月曜日に痔の手術を受けました。




今日でちょうど一週間たちます。




術後は痛くなるんだろうな。そんな風になんとなく軽く考えていたのですが。。




人によって痛みの感じ取りかたは違うとは思いますが、私にとってはそれはそれは地獄と表現してもいいほどの激痛に悩まされています。麻酔が薄まっていく4日目あたりから痛みが激しくなりました。




今まで私が経験した痛みでは2番目です。1番痛かったのは左耳に血がたまり、(柔道家やラグビー選手がよくなる、あの餃子のような耳のこと)手術してもらったとき。




あれは、のび太くんよりもはやいほど寝付きがいい私が一睡もできなかったほどの痛みでした。




両親と娘夫婦とお店のスタッフさんたちにお願いして一週間は部屋で休みをもらって寝ていたのですが、(今も横になって、この文章を書いています。)いつになったらこの辛さが薄れていくのだろう?というほど変わらず苦しいです。




横になりながら、出産を経験された方々ってこんな苦しみを味わっていらっしゃるのだろうか。とか、大病を患って闘病生活を余儀なくされている方々も毎日こんな大変な痛みとたたかっていらっしゃるのだろうか。などと色々考えたりしています。




私は痔の手術なので大病の方からは「命に関わりないんだから我慢しなさい!」とお叱りを受けると思いますが、痛み苦しみを少しだけ共有できているような感覚でいます。




なぜ私が正直にこう書いたかと申しますと。




日本人の3人に1人は痔に悩んでいると言われています。




この文を読まれた方で、もし痔でお悩みの方がいらっしゃるならば早く受診をとお勧めしたいからであります。受診を遅らせるという事は何もいい結果を生み出しません。今回私はそれがよくわかりました。




余生を少しでも楽に過ごしたいならば、やはり出来るだけ早く病院へ行った方がいい。そう思って書きました。




病院へ行って初めて受診する時も、この文章を書くのも、最初はとても恥ずかしく勇気の要ることでした。




でも、「えいっ!」と勢いをつけて飛び込んでみると「なーんだ」とそうでもなかった事に気付かされます。




この先いつ楽になっていくのか不透明ですが、徐々に仕事に復帰できるようにしていきたいと考えています。




今はまだ部屋から外を眺める事しかできませんが、治った暁にはビールもまた飲みたいですし、美味しいご飯も食べたい。




そんな楽しい事を想像しながらもう少し頑張ります。




基本的には横になって痛みを堪えているだけなので、ブログは毎日更新します。変わらずお付き合いいただけましたら嬉しいです。

小さな冒険

小学生の頃の私は遊びに出かける時に必ず3歳下の弟を連れて出かける。両親とそんな約束になっていました。




お店に弟を残して出かけると、両親の仕事の手を止めてしまうから。




母からお願いされ始めた当初は「なんで俺が?」とめんどくさがっていたのですが、「ゆうちゃん、どこ行くの?」と可愛い声でいつもたずねてくる弟を置いて出かけるのがしのびなくなり、次第に弟と私はセットで遊びに出かけるようになりました。




商売屋の子供にはよくある話だと思います。




弟を連れて出かけた場所で一番遠かったのが岐阜の川。朝3時に弟を揺り起こし、自転車の前のかごに2人分のお弁当と水筒と釣りの仕掛けを入れた箱を入れ、後部座席の弟に竿を持たせて二人乗りで延々とペダルをこぎ続けるのです。(自転車の二人乗りは法令で厳しい取り締まりがありますが、昔は非常に寛大であったと思います。)




片道3時間半。行きは意気揚々と出かけるのですが、帰りになるとさすがに元気がなくなります。それでも弟との遠出は私にとって絶対にやめられない、ワクワクする小さな冒険であり続けました。




何故そんな話を書いたかと言いますと、映画「サバカン」を観終えて物語の内容と私たち兄弟の姿が妙に私の中でリンクしたからであります。








この映画で描かれているのはちょうど私が小学生だった頃のこと。




観進めていくうちに余計に昔の事を思い出してあの楽しかった日々をとても愛おしく感じました。




胸がギュッとなる、そんな感じなのです。




映画「スタンドバイミー」の中盤までの感覚と同じだと思います。




友人たちとの出会い、別れ。そして小さな冒険までもが私の若かりし頃とぴったりマッチしたのです。




久しぶりに「好きだ」と言える映画に出会えました。




弟と一緒に毎日遊びに出かけたおかげもあるのか、今でも彼とはよく出かけています。




何の遠慮もなく、楽しい関係が続けられているのは間違いなくあの頃の思い出が弟と私の中に深く染み付いているからなのでしょう。




早速弟にこの映画の事を教えてやろう。そう思っています。




追記ですが、この映画を観て無性にサバカン(鯖の味噌煮の缶詰)が食べたくなりました。




劇中の何度もこだまする「またね~」が今でもずっと私の中で響き渡っています。