松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
ザアザア雨
ザアザアと雨の降り続く一日でした。
縁側に座って外をずーっと眺めている小学生の頃の自分を今日はなぜか第三者的な視点で思い出しました。
昔の松屋長春の奥の自宅は今よりももう少し大きな庭があり、枯山水の今とは違って池にも錦鯉が泳ぐきもちの良い場所でありました。
祖父の一番のお気に入りの庭であったと思います。
いま家をもっと住みやすいように建て替え、庭も半分くらいになってしまいました。
スペースを確保しなければならず苦肉の策で今のようにしたのですが、失ってしまったものの大きさをあらためて感じている今日この頃です。
昔ながらの日本家屋が少なくなり、縁側というものが消えゆく現代であります。
ザアザア、ピチョピチョとうっとおしい雨の日でも、雨をとても身近に愛おしく思わせてくれたのは、やはり縁側の存在があったからだと私は今そう考えています。
昔の縁側のようにはいかないまでも、小さい頃に腰掛けていたあの縁側の場所に今日少しの間だけ座って、あの頃の気分に戻れた感覚がありました。
「雨もいいもんだな。」
何十年ぶりなのかわかりませんが、じっくり雨と向き合えた気がします。