松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



甘く切ない真紅の紅葉



羽二重餅は年間を通して様々な季節の焼印で季節感を表現するようにしています。

秋になり、羽二重餅の焼印が紅葉になりました。

真紅の紅葉の鮮やかな色合いに出会うのも、もうそろそろです。

私の記憶に一番残っているのは、京都の修行時代にみた真紅の紅葉です。

嵐山➖高雄パークウェイという嵐山と高雄を結ぶ景色のとても素晴らしいドライブウェイを秋の紅葉の頃、当時お付き合いしていた女性と一緒に走りました。

車を走らせていますと、道路脇に小さなもみじの木を見つけました。そのもみじの紅葉が言葉を失うほど美しかったのです。

私の背丈よりも少し高いそのもみじの木は小さいながらも他のどのもみじの紅葉をも凌駕するほどの可憐さでした。

風に枝葉がなびくのを見つめながら、時間を忘れてしまうほどそこに身を置いていたことを昨日の事のように思い出したところです。

記憶とは私は関連付けだと思っています。

この私の甘く切ない青春の思い出は、真紅の紅葉の色合いと風が優しく頬をくすぐった事だけの記憶で私の中に強く刻み込まれています。

紐解いてみると、視覚と触覚のみの記憶で聴覚や味覚、嗅覚とは全く関連付けが無いのです。

記憶とは五感との関連性がやはり高いのかもしれませんね。

準備完了しました。

本日、京都タカシマヤで販売予定の羽二重餅がやっと完成しました。



お引き渡しのご準備が整ったところです。

関西にお住まいのお客様、到着まで今しばらくお待ちくださいませ。

今回もお客様との素敵がご縁がありますように。

錦絵と錦秋

おはようございます。



外郎製の蒸し菓子、「錦秋」をお店に並べました。

中は備中白小豆こしあんに柚子の香りをのせました。

江戸時代の華やかな木版画のことを錦絵と言うのですが、晩秋の紅葉や黄葉の色合いが山々をまるで錦絵のように美しく着飾り、人々をたいへん魅了したということから錦絵のような秋の景色という意味合いで「錦秋」と呼ぶようになりました。



これは江戸時代の浮世絵師、歌川国貞の作品です。

秋の山々の景色を連想させますよね?

この錦秋、もちもちとした食感が特徴です。

少し涼しくはなりましたが、冷蔵庫でちょっとだけひんやりとさせてからお召し上がりいただいてもとても美味しいと思います。