松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



丘の上の本屋さん

珍しく、イタリアの映画を観ました。




「丘の上の本屋さん」








物語の登場人物は主に本屋を営む主人公の老人、本屋の隣のトラットリアの青年、本屋に訪れたブルキナファソからの移民の少年、そしてゴミ箱に捨てられていた日記。(実際には日記を書いた女性の声)




抑揚が無く、静かに登場人物たちの会話を織り込んでいくこの映画のつくり方に非常に私は惹かれました。




なんでもないような毎日の生活を送るだけでも、心の持ちようによってはどれだけでも人生は豊かなものになるのだ、とこの映画が教えてくれたような気がします。




劇中に何度もイタリアの素晴らしい風景が何秒かずつ挟み込まれています。人生の豊かさとこの素晴らしい風景を同化させる意図があったのではないかと感じました。




映画の名作にはいつまでも心に残る言葉が付きものです。




「一番美しい日々は、まだ過ごしていない日々」




未来の事はわからないけど、人生をより良いものにしようという希望に満ち溢れた言葉であります。




「本は食べ物と同じだ。食べてみなければ好きか嫌いかわからない。」




本も食べ物も映画も趣味も仕事も。やはり体験してみなければわからないものです。一歩を踏み出せるような、勇気をもらえるような、ありきたりかもしれませんが、そんないい言葉です。




「持ち主が代わるたび、新たな視線を浴びるたび、本は力を得る。」




久しぶりに本屋さん、特に古本屋さんへいきたくなりました。




近頃、あまり本を読むことがなくなってしまいましたが、無性に好きな本を探しに行きたくなったのです。




50余年も生きていますと、好みというものは変化するものです。




食べ物、着るもの、本や映画や音楽などなど。




映画におきましては、今の私は非常に落ち着いた含みや深みのある映画が好きなようです。




素晴らしい映画でした。すぐにでも観直したいほどに。




余談ですが、主人公の古本屋の店主が着ていた服が飾りっ気のないような、なんでもないような普通の服のようですが、とてもオシャレで。




ずんぐりむっくりの店主さんに非常にマッチしていて、冒頭から最後まで彼の着ている服にばかり目がいきました。




体型が似ているオシャレな人の服の選び方や着こなしって、とても参考になるんですよね。




これから観られる方はそんなところにも注目していただきたく書き添えておきます。

水面に浮かぶ月

本日は国府宮神社の9月、月釜の日であります。




担当の先生がおっしゃいましたのは「夜の水面に浮かぶ月をイメージしてつくってください。生地は外郎製。あとはお任せいたします。」だけでした。




とても意気に感じるご依頼で、そのようなご注文の方がつくり手の私としましてはとても嬉しいのです。




銘「夜の月」








月には色んな姿がありますが、水面に映った月は幻想的で趣深いものであります。




今年の春の夜に名古屋城へ花見をしに行った時のこと。お堀の水面に名古屋城と月が浮かんでいるのを見ました。




本日ご紹介のこの和菓子をつくる時に最初に思い浮かんだのがその情景であります。




写真ではわかりにくいかもしれませんが、水面の波を千筋で付けました。




「夜の月」、松屋長春の店頭でも販売いたします。




気になられた方は是非松屋長春まで足をお運びくださいね。

モダン

シックな秋の和菓子がお店に並びました。




蕎麦粉を投入した薄いブラウンの薯蕷の蒸し菓子です。




中には丹波大納言小豆のこしあんと、丹波大納言小豆の蜜漬けをそれぞれ合わせて抱き込ませてあります。




粒あん風ですが、粒あんではない。そんな秘密が隠されているんです。




頂には大徳寺納豆を。




由来は古典的な和菓子ですが、出立ちがとてもモダンに感じる和菓子であります。