松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
キムタク
練り皮製の菊の和菓子「千代見草」が、今年もお店に並びました。


備中白小豆こしあんとの取り合わせで、【可憐で清楚】を意識しながらつくっております。
菊には別名(異称)がものすごくたくさんあります。
花の中では、ダントツでナンバーワンかもしれません。
この「千代見草」のほかにも、いくつか挙げてみますと、
まさり草、よわい草、重陽花、初見草、ちぎり草、星見草などなど。。。
まだまだ挙げ出したら、キリがありません。
人は源氏名など別の名前を持つことはあれど、親からもらった名前以外の名前を持つことは普通はありません。
いいなぁ。
私も時と場合によって名前を使い分けられたら面白いのに。
時には「ちょ待てよ。木村拓哉です。」なんて名乗ったら、日本中の人が、
「え! キムタク? ギャーっ!!」
と振り向くかもしれないし、
ある時は「ブラッド・ピットです。」と名乗れば、
「え? あのブラッド・ピット? サインもらおう!」
なんてことになるかもしれません。笑
やっぱりダメか。
持ってる顔が違うから。笑笑
皆様のご想像におまかせすることの大切さ
羽二重巻は、餡の色合いによって季節感を表現しております。
一方、松屋長春の代表菓である羽二重餅は、使う焼印によって季節を表しております。
数えたことはありませんが、一年を通して50種類以上の焼印を使っているのではないかと思います。
赤とんぼ(アキアカネ)は、最も暑い8月頃から山野を飛び交い始めます。
しかし昔から赤とんぼは茜色の空によく似合う、秋を象徴する風物詩として親しまれてきました。
もちろん今も赤とんぼは飛んでおりますので、なんら違和感はありませんが。。。
現在、羽二重餅にはこの赤とんぼの焼印を押して販売しております。
私はいつもこう考えています。
羽二重餅を純白でご用意してきてよかった、と。
真っ白なキャンバスに、ぽつんと赤とんぼ。

それを見ることで受け手である皆様が、
「ああ、夕暮れどきの赤とんぼね。そろそろ秋なんだ。」
そんなふうに、頭の中で秋の景色を思い描いてくださるのではないかと思うのです。
実際に目に映るものをそのまま表現するのではなく、見るかたの想像力に委ねる。
目の前にない景色だからこそ、心の中に広がる景色がある。
私はそんな部分に一番重きを置いています。








