松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



私は生きてゐるのだ

この素晴らしい透明感を写真で表現するには、やはりお天道さまの下で撮るのが一番いいのかもしれません。




背景にまで気を配る余裕はありませんでしたが、なかなかいい感じに撮れました。笑




昨日ご紹介いたしました「星の光」に続き、レモン果汁と果皮をふんだんに使用して仕上げた「レモン羹」です。




高村光太郎が『智恵子抄』で綴ったように、レモンは「私は生きてゐるのだ」と、最も強く実感させてくれる食べ物なのかもしれません。




鼻をすうっと通り抜ける芳香、目が覚めるような酸味。




是非お召し上がりいただきたい夏の涼菓です。





星の光

雨がシトシトと降るのではなく、昨夜からザアザアと激しい雨が降り続いています。




我が稲沢市を流れる日光川は、今朝のニュースによれば氾濫危険水位に達したとのことでした。




少し前を振り返れば、全国的に渇水の日々が続き、ダムの貯水率が10%を下回る地域も少なくありませんでした。しかし、この梅雨の大雨によって、その心配はひとまず解消されたのではないでしょうか。




何事も「ほどほど」が一番だと思います。けれど、人の営みだけでなく、自然の世界においても、その「ほどほど」を保つことこそ、最も難しいことなのかもしれません。




こんな天気では天の川銀河なんて全く見えません。




タイミングが悪いかもしれませんが、本日は「星の光」という松屋長春の定番和菓子をご紹介いたします。




中心に北海小豆こしあんを据え、レモンの果汁と果皮をたっぷり投入した備中白小豆こしあんをまとわせました。




その二重に仕立てたあんを本葛で包んで軽く蒸し上げ、頂に「星の光」をイメージさせる金箔をあしらって完成となります。




定番の和菓子と書きましたが、今年は色合いに少し変化を求めました。備中白小豆こしあんを黄色の濃淡でグラデーションさせております。




そのような変化にも目を向けていただき、お召し上がりくださいましたら嬉しく思います。





ジョンレノン

本日ご紹介いたします羽二重餅製の和菓子に押印したこのデザインは、「青海波(せいがいは)」です。








同じ大きさの半円弧を規則正しく重ね並べた幾何学模様で、穏やかな波を連想させることから、「いつまでも平穏な日々が続きますように」という願いが込められています。




昔から用いられてきた「青海波」や「千鳥」、「流水」などの伝統的な紋様は、どれも実に端的で、しっかりとその本質を捉えています。そして、そのひとつひとつに人々の願いや祈りが込められているのです。




余計なものを足さず、わずかな線や形だけで意味を表現する。昔の人の感性や知恵には、本当に感心させられます。




何百年も受け継がれてきた理由が、こうした紋様を眺めていると、なんとなく分かるような気がしますよね。




私の感覚では、ジョン・レノンの描く絵にも、どこか同じものを感じます。




彼の自画像などを眺めていると、自分自身の特徴を驚くほど的確に捉えながら、使われている線はほんのわずかです。




余分なものを削ぎ落とし、本当に必要なものだけを残す。




それは、長い年月を経て受け継がれてきた日本の伝統文様にも通じる美意識なのかもしれません。




センスがいい、という言葉だけでは片付けられないものがあります。




ただただ感服させられるばかりです。