松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ジョンレノン

本日ご紹介いたします羽二重餅製の和菓子に押印したこのデザインは、「青海波(せいがいは)」です。








同じ大きさの半円弧を規則正しく重ね並べた幾何学模様で、穏やかな波を連想させることから、「いつまでも平穏な日々が続きますように」という願いが込められています。




昔から用いられてきた「青海波」や「千鳥」、「流水」などの伝統的な紋様は、どれも実に端的で、しっかりとその本質を捉えています。そして、そのひとつひとつに人々の願いや祈りが込められているのです。




余計なものを足さず、わずかな線や形だけで意味を表現する。昔の人の感性や知恵には、本当に感心させられます。




何百年も受け継がれてきた理由が、こうした紋様を眺めていると、なんとなく分かるような気がしますよね。




私の感覚では、ジョン・レノンの描く絵にも、どこか同じものを感じます。




彼の自画像などを眺めていると、自分自身の特徴を驚くほど的確に捉えながら、使われている線はほんのわずかです。




余分なものを削ぎ落とし、本当に必要なものだけを残す。




それは、長い年月を経て受け継がれてきた日本の伝統文様にも通じる美意識なのかもしれません。




センスがいい、という言葉だけでは片付けられないものがあります。




ただただ感服させられるばかりです。

季節のサイン

松屋長春は本日もお休みをいただきます。




早朝からW杯日本代表の試合をテレビで観戦しました。




選手の皆さんの「命をかけて」がひしひしと伝わり、久しぶりにスポーツを観て胸が熱くなり、思わず涙しました。感動をありがとうございました。




この文章を書き終えたら、もう一度布団に入り、ゆっくり休みたいと思います。




昨日は私、「季節のサイン」をたくさんキャッチしました。




もみじのカーテン、ムラサキいろの紫陽花、つばめの子育て、川のせせらぎ。




















どれもが最高に愛おしかったです。

悲しみの向こうに

18分ばかりの短い映画の中に、主人公の揺れ動く心情が上手く描写されている素晴らしい物語がありました。




映画「彼方に」








あっという間に無差別殺人で娘と妻を失ってしまった主人公。




エリートサラリーマンであった主人公が、タクシードライバーに転身して傷心の毎日を送るのだが。。




ある日、かつての自分の家族に重なるような乗客を乗せるところから物語は一気に動いていく。。。




悲しみ、苦しみ、喪失感。




色んな感情が入り交じり、その先に主人公は何を見たのだろうか。




私は三人の娘の父親であります。




この映画に自分自身を投影しながら観たのですが、もし突然娘たちを失ってしまったら、自分は果たして正気を保っていられるのだろうかと考えてしまいました。




人は大切なものを失った時、その悲しみから逃れることはできません。




けれども、その悲しみを抱えたままでも生きていかなければならない。




主人公が乗客との出会いを通じて少しずつ変化していく姿は、とても静かでありながら胸に迫るものがありました。




たった18分の作品ですが、1本の長編映画を観終えたような余韻が残ります。




派手な演出もありません。




大きな奇跡も起きません。




それでも、人と人とのささやかな繋がりが、凍りついた心を少しだけ溶かしてくれることがある。




そんな希望を感じさせてくれる作品でした。




恥ずかしながら私は、久しぶりに声をだしてむせび泣いてしまいました。




近頃わたしはショートフィルム、いわゆる短編映画に執心しております。