松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



さなえ

田植えの季節です。

春先まで水の少なかった川にも水量が戻り、産卵を控えた鯉や鯰が上流に向かって遡上する時期でもあります。

田んぼにも水が引かれ、大きなゴイサギや白鷺が蛙やドジョウを求めてたくさん飛来するのを見かけると、ああ今年も大好きな地元稲沢市の風景が戻ってきたのだと感慨深くなるものです。

私の住む稲沢市は稲作が多いのですが、市の名前の由来と稲作とは関係がないようであります。しかし、田んぼが多いわが町なのでちょうどぴったり、しっくりとくる名前であるので私はとても稲沢市という名前が大好きなのです。

前置きが長くなりましたが、毎年田植えの時期に合わせてつくる松屋長春オリジナルの菓子をお店に並べました。



「早苗」と銘打っています。

ご覧の通り、きゅうりを薄切りにして流し込んでいます。

青の香りとほのかな酸味が爽やかな初夏を思い起こさせてくれます。

本来の香りや味を知る

今年も葛焼きをつくり、お店に並べ始めました。



本葛粉を水溶きし、砂糖と合わせて銅鍋で練り上げて流し固めたものを平鍋の鉄板の上で焼き上げてあります。



1枚目の写真と2枚目の写真の違いがお分かりになられますでしょうか。

2枚目の写真はまだ透明感がなく、濁っていますよね?

これはでんぷん質がしっかりα化していない(でんぷん質がきちんと美味しく食べられる状態にまだ変化していない状態のこと)ので透明感がないのです。

きちんと熱を加え、やっと葛本来の滋味深き香りや味わいが出てくるのです。

いつも私がこのブログでおはなしする事ですので繰り返しとなってしまいますが、本葛と本葛の類似品が現在は混同してしまいがちになっています。

簡単な見分け方は、本葛は翌日になるとかたくなって白濁してきます。(冷蔵庫に長い間入れるとその変化が顕著であります。)これは、本葛のでんぷん質が元の状態に戻ろうとする自然の変化です。一方類似品はゲル状の、でんぷん質ではないものなので、長い間冷蔵庫に入れておいても大丈夫です。何日も置いておいても変化が分かりにくいものとなっています。

この二つには香りや味の違いも大きく開きがあるのは当然の事であります。

松屋長春が毎年つくる葛焼きはあんを全く含まない本葛100%なので、葛本来の香りや味がダイレクトにお客様に伝わると思います。

これこそ葛!なのです。

和菓子屋とはやはり最上質のホンモノを使い、しっかりとお客様に本物とは何かを知っていただく、そんな大事な役割があると私は考えます。

友人のつくる野菜

私のお店の近くに素晴らしい野菜をつくる友人がいます。

「丹下の茄子」としてプロフェッショナルしかつくる事のできない色々な野菜を販売しています。

ここに彼のホームページを記しておきます。

http://tangenonasu.com

現在、彼が「ひとりマルシェ」で販売している野菜の一部をご紹介いたします。



ヤングコーン。

恥ずかしながら私はスーパーで売っているヤングコーンの水煮のパックのものしか食べた事がありませんでした。



一つ一つ剥いて軽く茹でてたべましたが、シャキシャキとした食感が新鮮さを物語り、その香り高さと甘み旨みに大きな驚きを覚えました。もう一つびっくりしたのがヤングコーンのひげも美味しいってこと。ひげも新鮮ならば食べられるんですね。

今回はズッキーニとキュウリも昼食、夕食でいただきました。

どうしても近くにある手軽なスーパーで野菜を買ってしまいがちでありますが新鮮さ、美味しさ、みずみずしさ、香り、全てに大きな差があります。

せっかくいただくのなら美味しいものを。誰もがそう思っているはずです。

ひとりマルシェはお昼12時から13時までの短い時間しか営業しません。これからもできるだけ時間をつくって買いに行こうと思っています。

稲沢市内の方、また稲沢市近くにお住まいの方は是非一度食べてみられてはいかがでしょうか。

本日は茄子のご紹介はできませんでしたが、もちろんみずみずしさ抜群の絶品野菜です。