松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
七夕
「七夕」と銘打ってお店に並んでいる錦玉製の和菓子です。
抹茶が入った願いの短冊をランダムに。
願いを込めながらお召し上がりいただけましたらと思います。
私が若かった頃、隣町である一宮市の七夕まつりはそれはそれは盛大でした。
ずっと続くアーケードには色々な飾り付けがされており、簡単なからくり人形のような仕掛けがされているなど、とても手のかかったものでした。
小学生の時には両親に「連れてって」とせがみ、中学生になると友人たちと連れ立って出かけたものです。
娘たちを連れて行かなくなってからは随分と足が遠のいていますが、聞くところによると昔のような盛大なまつりではなくなってしまったようです。
商店街の衰退に伴う事であろうと思いますが、全国の商店街は今どこも壊滅状態であります。
大型の商業施設が圧倒的に増え、私にとっても非常に便利な世の中にはなりましたが、昔あった地域密着型の人情を売るような、そんな商売が絶滅危惧種となってしまった事に大きな喪失感を抱きます。
シャッター街と揶揄される商店街はどこかうらびれていて悲しい雰囲気を自然と醸し出すものです。
とてもやるせなくて寂しいです。
シンプルに
なんでこんなにおにぎりが好きなんだろう?
梅もしぐれも昆布も焼きたらこもシャケも。
おにぎりの具を考え出したらキリがない。
炊きたての白飯をアツアツのうちに握って塩味だけで食べるのもよろしい。
今回は友人である割烹ほそののご主人からもらった天然塩で握って、佐賀海苔で巻いただけのシンプルおにぎりをつくりました。
和菓子職人である私は握るかたさや形に特に強くこだわります。
和菓子職人でいながら上手に握られてなかったらダメですもんね。笑
すはま
本日は「州浜」製の和菓子のご紹介です。
読み方は「すはま」です。
大豆の粉とお砂糖を原料に練り上げてつくるのですが、その大豆粉はお店によってさまざまであります。
松屋長春ではロースト強め、香りの強いきな粉を用いてつくっております。
この「州浜」のもととなったのは京都、烏丸丸太町の交差点近くにあった植村義次という300年以上続いた和菓子店。
私が敬愛する和菓子店であったのですが、残念ながら後継者に恵まれず閉店してしまいました。
機会ある度にお邪魔しておはなしさせていただきました。
こういった素晴らしい和菓子屋が後継者不足でどんどん少なくなっているのが和菓子界の今の現状です。
とても寂しいことであります。