松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



咲き分け

咲き分けと名付けてお店に出している松屋長春の定番の生菓子です。



梅や桃の花には咲き分けといって同じ株から咲く花が2色の色合いの花を咲かせる事があります。それを咲き分けとそう呼ぶのですが、私の解釈としては和菓子での咲き分けの意味合いを持ったものとしてこの外郎製の生菓子をドロップしています。

薄桃色の優しさと純白のこの取り合わせは、春以外の色の組み合わせとしては成り立たないほどの春色をしています。

春だけの春にしか表現できないこの取り合わせ。

刹那のうちに終わりを告げるのがこの生菓子です。

ホームシック

東京で四月から和菓子屋さんで働く長女から泣きの電話がかかってきました。

家を出てはや二年。すでにホームシックとは無縁だと思っていましたが、今までの二年間は学生寮住まい。寮長さんご家族や学生の仲間も一人部屋だとは言えども近くにいました。

しかし就職を控え、いざ一人暮らしになると様相が一変して毎日とても静かで寂しいそうです。

私の家族は全員賑やかであります。18年間は私たち家族のもとで毎日ガヤガヤと暮らしていたので、やっと今その懐かしさが奥底から込み上げてきたそうです。

寂しかったら毎日でも電話してきなさいと声をかけた私ですが、娘と同じく込み上げてくるものがありました。

今、思い返してみると私も娘と同じようにホームシックに何度もかかった事を思い出します。家に、そして家族に思い入れが強いほどキツいホームシックにかかるのかもしれません。

優しく声をかけてやるのも親なのでしょうが、ここはグッと堪えて娘の成長を見守ってやろうと思っています。

誰でも多かれ少なかれこのようなホームシックを乗り越えなければなりません。

ガンバレ。

昨晩は家族に青菜炒めと牛肉とアスパラガスの醤油炒めを作りました。



娘が今度帰ってくるのはいつなのかわかりませんが、その時には愛情たっぷりの私の手料理で労ってやろうと思っています。

正直にお話しますと、娘から話を聞いてからずっと頭からそれが離れずにいます。いたたまれない気持ちです。ダメですね、私は。どっしりと構えた父親でなければなりません。

もうそろそろ終盤です。

桜の季節です。

桜の花が隆盛を極めている頃です。

和菓子は季節先取りでお作りしているので、シーズン真っ盛り。そして盛りを名残惜しく思う頃までお店に並ぶものであると思っています。



そのような意味合いでいいますと、これらの生菓子はそろそろ終盤。

名残惜しいと言われるうちに終了したいと思います。

今週末、そして来週いっぱいくらいまででしょうか。終期はそれぞれの生菓子によってばらつきがあると思います。