松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



焦る事などないのに

今夜は次女と協力して夕飯を仕込みました。




















豚汁と混ぜご飯と干物に大根おろし。




新しい家庭でも、父ちゃんの味をちょっとだけでも残して欲しい。




そんな思いをいつも娘に一生懸命伝えているつもりです。




別れの時まであともうちょっと。




何にも焦る事などないのに、焦っているバカな自分がいます。

ホンモノの家族

「黄身時雨」という生地の蒸し菓子をお店に並べました。




この生地の和菓子をお店に出すのは本当に久しぶりの事ではないかと思います。(ベニサザンカは別としてですが。)




今回は私が蒸しの当番だったのですが、蒸し上がったせいろの向こうに両親と息子の姿がちょうど良いアングルで見えたので「黄身時雨」と三人を同じ枠で撮ってみました。




息子は婿として我が家へ来て三年半くらい経ちましたが、完全に溶け込んで、私たちはホンモノの家族になりました。




ご存知ない方だと息子が婿なのか、娘の方が嫁なのか絶対にわからないと思います。





いのち

坂本龍一さんが亡くなって随分経ちました。




遺作「OPUS」のCDはすでに購入して聴いていましたが、映画「OPUS」は結局映画館に観に行くことは叶いませんでした。




少し前にAmazonで注文しておいたDVDが届きたましたので、日々映像と共に彼の命のメロディを心に宿しております。








病気と闘い体力を奪われてしまっているプロフェッサーの姿を見ると、いたたまれない気持ちが込み上げてもきますが、こうして私たちに素晴らしい曲とその曲たちを演奏する姿を魅せる事によって坂本龍一さんは満足して逝かれたのではないかと納得しているところです。




この演奏とメロディは、何度観て聴いてみても涙無しではいられません。




シンプルさと美しさと切なさと愛おしさとあれやこれやのエトセトラが複雑に私の感情に作用してどうにもこうにも居られないのですが、それでもまた、そしてまたと求めてしまう不思議な感覚があるのです。




私がこの世を去ったとき、私は何か残せるのだろうか。




私という人間を誰かの記憶の奥底に、少しだけでも残ってくれていたら嬉しいな。




そんな風に考えてしまい、坂本龍一さんの曲をしみじみ聴きながらちょっとだけセンチメンタルな心持ちになりました。