松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



正月の準備 伊勢芋編

毎年、伊勢芋の調達にとても苦労するのですが、今年も随分苦しんで手に入れました。



伊勢芋はグレードがあり、一番いいものは秀Aとランク付けられています。次に秀Lと続きます。

大きさはもちろんの事、凸凹のない丸いものが秀Aとなるのですが、この秀Aがとても希少で毎年調達するのが困難です。

今年も当店で必要な分はなんとか確保できました。

この伊勢芋は蒸し菓子である薯蕷と練り薯蕷という伊勢芋100%のあんに使用します。

薯蕷は伊勢芋をすりおろして砂糖と粉を混ぜて生地にするスタイル、練り薯蕷は伊勢芋を薄く切り分けて蒸し上げ裏ごししてあんに仕上げるもの。

今回は練り薯蕷のご紹介です。



切り分けて蒸し上げ



裏ごし



裏ごしし終わった写真です。

これを砂糖と一緒に熱を入れ、練り薯蕷にします。



純白の練り薯蕷が無事に完成しました。

伊勢芋を剥き薄切りにし、蒸し上げて裏ごし。その後で練り上げ、冷ましてからもう一度裏ごししてから使用します。

非常に手間がかかり時間も要する練り薯蕷ですが、この練り薯蕷しか出せない唯一無二の素晴らしさがここにあります。

そんな理由から毎年どうしても伊勢芋は私どもにとって無くてはならない大切な材料の一つなのです。

また和菓子屋が使う芋は様々で伊勢芋の他には大和芋やつくね芋などがよく知られていますが、伊勢芋の強い香りと粘りは他の追随を許さない特徴があり、他の芋では代わりにならない事もここでお話させていただきます。

この練り薯蕷はこの先、当店ではクリスマスセットの中に入れますクリスマスツリーきんとん、店頭で販売するクリスマスツリーきんとん、12月30日からお正月用の上生菓子として販売します初海や寒氷やかがり火や相生などに使います。

お店へお越しの際は「練り薯蕷を使用した和菓子」とお問い合わせいただけましたらと思います。

近年、地球温暖化の影響なのか天候不順が作物に大きな痛手となっています。

当店でもこの伊勢芋の不作や和菓子屋では無くてはならない小豆の不作も大問題の一つとして頭を悩ませています。

毎年豊作を願ってはいるのですが、なかなかそうはいかない年が続いています。

出来るだけお客様に毎年美味しい和菓子がお届けできますように私としても最大限の努力をしているところです。

これからも応援していただけましたら嬉しく思います。