松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



「せっぺい」のおはなし

梅の花を模した羽二重餅製の生菓子をお正月前後から毎日お店に並べています。



基本的に餅の生地はとても線が出にくいものです。

そのような理由からあまり線を出すようなものは作らないようにしていますが、12月,1月のベニサザンカやこの梅の羽二重餅は季節ものでどうしてもつくらなければなりません。

写真を見られていかがでしょうか。

線ははっきりと出ませんが、コロッとした梅の雰囲気が出ていてこれもいいものであると私は思っているのですがどうでしょう?

さて、表題のせっぺい。これは雪平(せっぺい)と読みます。鍋の雪平鍋(ゆきひらなべ)とは漢字こそ同じであれど、読み方が違うんです。

雪平(せっぺい)とは?

ご説明しますと餅の生地に白あんを入れ、仕上げたものです。

こうする事によって餅の生地に線を出しやすくするのです。私は30年近く前に作ったことがありますが、現在は使いません。

この雪平(せっぺい)のメリットは先ほどお話しました線の出しやすさや成形のしやすさ。これに尽きます。そしてデメリットは餅のふわふわ感が損なわれる事。この一つであります。

不味くなるわけではありませんが、こうしたデメリットによって普段のものと食感や触感が違ってきてしまいます。

そんな理由で手がけないのです。

雪平(せっぺい)のお話。

ご存知でない方が多かったのではないでしょうか。このような事を知識として持たれながら和菓子に触れ合っていただきますと、より楽しめるのではないかと考えています。

それでは今週もお付き合いよろしくお願いいたします。