松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
クリント イーストウッド
映画 運び屋
私が敬愛するクリント イーストウッド監督の最新作です。
確かこの映画は彼が88歳の米寿の時か89歳の時に監督、主演を同時にこなした作品です。
90歳の老人が運び屋として大量のコカインを車に載せて運転し、逮捕された実際の事件から着想を得てクリント イーストウッドがメガホンを取るに至りました。
ちょうど年も同じくらいではまり役だったのかもしれませんね。
この映画を観て、家族の在り方について真っ正面から向き合ったストーリーが私の心を鷲掴みにしました。
家族の崩壊、そして家族の絆とは何なのか。それを年老いた主人公が赤裸々に魅せてくれます。
クリント イーストウッドは俳優としてはダーティーハリーシリーズで名を挙げたのだと記憶していますが、今思い起こしてみますと彼のしたかった事はそこには無かったという事がわかります。
映画とは何か。
「人に真摯に訴えるもの」
しっかりしたテーマが無ければ映画ではないのだと言う事が彼の監督作品全てに表れています。
私も家族というものをしっかりと築き上げられなかった人間の一人です。
この映画を観て考えさせられるものが多くありました。
映画は娯楽。娯楽として観る映画も時には楽しくいいもので好きなのですが、こうした考えさせられる映画は特に観終わった後にずーっと引きずる思案する時間というものが、とても大切であると私は思います。
クリント イーストウッド監督作品には映画界において金字塔をいくつも打ちたてました。
私がとても感銘を受けた作品には
「バード」
「許されざる者」
「ミリオン ダラー ベイビー」
「グラン トリノ」
などをはじめ、多数の作品がありますが、最近の彼の作品にはどこか人生を楽しむ!緩やかに楽しんで余生を過ごそう!みたいな空気が映画の中に散りばめられています。
前作、「グラン トリノ」でもそんな感じを受けました。
グラン トリノでは人種差別を超越した優しい隣人、今回の運び屋では亭主関白でどこか楽天的な主人公を演じています。
彼の映画の素晴らしいところは、映画中の音楽にもあります。あまり知られていないかもしれませんが、彼の音楽の造詣の深さは博物館級なのです。
映画監督には音楽マニアがたくさんいて、自分が監督する映画にぴったりの曲を当てはめる天才が何人もいます。ウッディアレンやクウェンティンタランティーノなどがその代表ではないでしょうか。
時には静かで平和な音楽、時には軽快なジャズ。
それが映画のシーンにピッタリとはまって、なんとも心地良いのです。
この映画音楽にもスポットライトを当ててくださいましたら、より映画の素晴らしさを感じでいただけるのではないかと思います。
彼はそろそろ90歳を迎えます。
いつまで彼の映画を楽しみにしていられるのかはわかりませんが、感動的なテーマを元にこれからもどんどん精力的に映画づくりに励んで欲しいと思う私です。
これほどの素晴らしい監督、俳優はどこを探してもいません。
私はそれほどクリント イーストウッドが大好きなのです。