松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



思い出の肉吸い

私は全身全霊で捧げた卓球をやめてしまってから黒鯛釣りに全勢力を傾けるようになりました。

以前よりとても気になっていた黒鯛の釣りクラブに入会し、黒鯛釣りとはなんたるかを全て教わった吉岡という面白い先輩に続き、私は小嶋という先輩と一緒に休みの日を共にするようになりました。

彼とはいつも一緒。釣りが本当に楽しいものだと教えてくれたのはこの人でした。

ある日、いつものように大阪の海へと釣りに行った際に難波グランド花月近くの有名なお店に連れてってもらいました。そのお店の看板メニューが「肉吸い」

肉うどんの汁だけみたいなものと白飯だけのシンプルな定食を彼と食べて親交を深めたのを昨日の事のように思い出します。

今夜はその懐かしくも甘い思い出いっぱいの「肉吸い」をつくりました。



昆布、続いてかつお節から出汁をとり、日本酒と味醂と醤油で味を整えて完成です。



私の中では小嶋さんの味、あれから何度もつくった私自慢の味です。

人生を線でなぞるのではなく、点で振り返っていくと数え切れないほどの忘れられない点が私の中に溢れかえります。

なかなか友人たちに会えない日が続いています。

こうした思い出の食べ物をつくる事によってあの時の自分に立ち返る機会とする事も今の自分にとってはリフレッシュできる一つの方法ではないかと考えています。

小嶋さん、落ち着いたらまた黒鯛釣りに連れてって。

こうして会えない中でも、いつも気にしてんだわ。