松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ジョン レノンのように

私がつくる料理で娘たちが一番大好きなのが石焼ビビンバです。



長女がいないのはとても残念ですが、次女と三女のために久しぶりにつくる事にしました。



友人である名古屋の割烹ほそのさんにお願いして仕入れてもらった牛骨。ちょうど2キロ。
この牛骨を二日間アクを取りながらしっかり煮出しました。



最初はこのような澄み切ったスープ。

二日間たちますと



このような白濁した牛骨スープが出来上がります。

牛骨スープは豚や鶏とはまた違った優しい香りが特徴のスープです。

この牛骨スープで白飯を炊きます。



本場の石焼ビビンバはこの牛骨スープで白飯を炊くのですが、ちゃんとした理由があります。白飯を牛脂がコーティングし、石焼ビビンバにして混ぜてもご飯が全く潰れません。また、旨味も加わって素晴らしい牛脂飯に仕上がるのです。



ナムルやその他の取り合わせは全て別々に味付けします。
色合いも考え、黒胡麻や白胡麻もその日の気分で加えるようにしています。



この日の石焼ビビンバの具です。



盛り付けて出来上がりました。
出来上がるまでに3日もかかりましたが、納得の出来です。

そして、翌日は残った牛骨スープを加えてテールスープを作りました。2日連続の韓国料理です。



飛騨牛テール。これは三女と一緒に買いに行きました。素晴らしいテールです。



しっかりアク抜きをしてもアクは出るもので根気よく根気よくきちんとアクを取り除きます。このアク抜きがスッキリしたスープになるかどうかの分かれ目だと思います。



牛骨スープを加え、スープの下地が完成しました。



今回は大根、人参、椎茸を加えて作ることにしました。



コチュジャンと醤油とお酒と胡麻油で味を調えてスープは出来上がりました。

納得の味です。

私はせっかくの韓国料理なので辛く仕上げたかったのですが、母とおすそ分けする割烹ほそのさんが辛いものが苦手なので抑えめにしました。



石焼ビビンバと同じ石鍋に入れ、煮立ててからニラともやしを入れて完成です。

2日とも家族やパートさんたちにも喜んでもらい、それだけで幸せな気持ちになりました。

手間をかけ、心を込めて作る料理は必ず伝わるものです。

いずれ娘たちが旅立った後も私の毎日のルーティン、そして私のいつも考えている事が役立ってくれるものだと考えています。

近頃、様々な国で悲しい事件が後を絶ちません。

オーストラリアのメルボルンでのテロ事件、アメリカのカリフォルニア州での銃による殺戮。また韓国のアイドルグループ、バンタンのメンバーの衣服の問題などなど。

相手をリスペクトする気持ちが少しでもあれば、人を見下す事もなく引け目を感じる事もないはずです。

私は人を嫌うことが大嫌いです。
まず人を好きになり、そこから人付き合いは始まるのだから。

これは娘たちにいつも私が一生懸命伝えている一番大切な事です。

人嫌いが無くなれば幸せな世界が広がっていくのではないかと心の奥底からそう考えています。
そんな意味合いも含めて、私はとても刺激を受けた国々の料理を機会あるごとに家族に向けて作るようにしています。

それぞれの国にはそれぞれの自慢の料理があり、誰もが胸を張って他国の人にオススメしたいものです。

そんな料理たちに畏敬の念を込めて私は料理を作ります。

ジョン レノンが「イマジン」で歌っていました。

想像してごらん
国なんて無いんだと
殺す理由も無く宗教も無い
地面の下に地獄もなく
ただ僕たちの上には空があるだけ
ただただ今をそのまんま生きるのさ
平和に生きるだけなのさ

ジョン レノンのように世界の人々全てが考えた時に平和な世の中がやってくるような気がします。

心を真っ平らな波一つない池のように。

料理する事。食べる事。

心が安らぐ瞬間です。