松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



大きくなあれ

昔のむかし。

我が家には畑がありました。野菜も作っていましたが、私が大好きだったのは柿や柚子や日向夏のような果物の木でした。

柿の木にはモズなどの野鳥がやってきて、捕まえてきた獲物を枝に引っ掛けていきました。また、夏になると柑橘類の木には多くのアゲハチョウが舞い降りて、たくさんの卵を産んでいったものです。

大人になった今でも私の心の中にはとてもいいリズムでその時の風景が強く心の中に残っています。

先日、鉢植えの山椒の木にアゲハチョウの幼虫を二匹見つけました。



大きくなり、葉に同化した緑色の幼虫と



まだ大きくなり切れていないマダラ模様の幼虫を。

柑橘類の木にしか産卵しないと思っていたアゲハチョウ。

山椒の木にも産卵する事を知りました。

自然がどんどんと無くなっていくわが町、稲沢市。柑橘類の木も少なくなり、アゲハチョウの産卵場が失われつつあるのかもしれません。

なんだかとても悲しくなってしまいました。

住みよい生活を得るために住みよい町をと進んだ結果、住みにくい世の中へとズブズブと沈んでいく様を垣間見たような気がしました。

自然との共存、動植物との共存は結果的に私たちの生活を住みよいものにしてくれるはずです。

すでに一生懸命全員で考えなければならない時なのです。

アゲハチョウからそんな事を今日、教わりました。

頑張って大きくなあれ。

余談ですが、アゲハチョウの幼虫は付いた木の果物の匂いがするんです。

みかんにはみかんの匂い、柚子には柚子の匂い。

そんな匂いを出します。

うちの二匹のアゲハチョウの幼虫はきっと山椒の匂いがするんでしょうね。

面白い。