松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



素晴らしい絵画は観る者の心を豊かにしてくれます

月曜日が定休日の私はなかなか美術館や博物館、動物園や水族館などの公共施設に出かける事はできませんでしたが、最近は火曜日もお休みいただける日ができて、有り難いことにそのようなところへも出かけられるようになれました。

昨日、豊田市美術館までクリムト展を観に行ってまいりました。



クリムトと言えばこのユディトが一番有名ではないでしょうか。



ユディトⅠ

ユディトはⅠとⅡがあり、今回のクリムト展ではこの有名な方のユディトⅠが展示されていました。近くに美術館があり、このような素晴らしい絵画に会いに行ける事、本当に幸せに感じます。

恍惚の表情を浮かべるユディトと首を切り落とされたホロフェルネスの表情が対照的で、一見美しく見える絵を一瞬で身の毛もよだつゾッとさせるものにしてしまいます。

ホロフェルネスの首はユディトが金箔などを使い、豪華絢爛に描かれているのとは逆にとても暗い色彩で控えめに右下の位置に描かれています。ユディトそのものに惹きつけられ過ぎてしまうと気づかないほどであります。

クリムトの絵で私がとても特徴的だと思ったのは、配置の妙です。

もう少し中心に寄せてもいいのではないかと思う絵が数多くありました。

ユディトⅠはその絵たちの代表格なのかもしれませんね。

人が気づかない程度の縁に目を向けてもらえるよう工夫しているのではないか、そう私は感じた次第です。



実際に描き始める前の練習としての習作などにも目を見張るものがありました。

鉛筆一本で描かれた絵にもその曲線美の凄みが感じられます。



私がこのクリムト展で一番心を奪われた絵はこちら。

「ヘレーネ クリムトの肖像」

クリムトは亡くなった弟の娘を引き取ることになったのですが、その彼女への愛が溢れるとても優しい絵に引き込まれました。

実際に私は退場する前に2度ほどもう一度みたくなり、戻ったほどです。

有名な画家の展示会に行くと必ず思う事には、本人が描いた絵全てが一貫した同じような造りでないという事です。

画家になり、長きに渡って様々な美的感覚を取り入れながら成長するのです。

クリムトも同じように彫金から金箔にも手を出し、日本美術や日本芸術にも多大な影響を受けた事を知りました。

円熟味を増し、ベテラン画家になっていくほどその画家としての魅力が育っていくのでしょう。

また、クリムトの達筆さにも驚きました。手紙が何通か展示されていましたが、整然と並んだ彼の美しい字にも魅了されました。

素晴らしい絵画は観る者の心を豊かにしてくれます。

皆さまもクリムト展、是非行かれてはいかがでしょうか。

話は変わりますが、私の友人である名古屋フレンチの壺中天のオーナーが豊田市美術館にも名を変えて支店を出しました。

こちらはきちんとしたフレンチではなく、軽食も交えた洋食屋さんと表現したらいいのでしょうか。

お店の名前も壺中天ではなく、味遊是としてオープンしております。





ここにご紹介させていただきます。

オープンおめでとう。

相変わらずとても美味しいランチだったよ。