松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



本来の香りや味を知る

今年も葛焼きをつくり、お店に並べ始めました。



本葛粉を水溶きし、砂糖と合わせて銅鍋で練り上げて流し固めたものを平鍋の鉄板の上で焼き上げてあります。



1枚目の写真と2枚目の写真の違いがお分かりになられますでしょうか。

2枚目の写真はまだ透明感がなく、濁っていますよね?

これはでんぷん質がしっかりα化していない(でんぷん質がきちんと美味しく食べられる状態にまだ変化していない状態のこと)ので透明感がないのです。

きちんと熱を加え、やっと葛本来の滋味深き香りや味わいが出てくるのです。

いつも私がこのブログでおはなしする事ですので繰り返しとなってしまいますが、本葛と本葛の類似品が現在は混同してしまいがちになっています。

簡単な見分け方は、本葛は翌日になるとかたくなって白濁してきます。(冷蔵庫に長い間入れるとその変化が顕著であります。)これは、本葛のでんぷん質が元の状態に戻ろうとする自然の変化です。一方類似品はゲル状の、でんぷん質ではないものなので、長い間冷蔵庫に入れておいても大丈夫です。何日も置いておいても変化が分かりにくいものとなっています。

この二つには香りや味の違いも大きく開きがあるのは当然の事であります。

松屋長春が毎年つくる葛焼きはあんを全く含まない本葛100%なので、葛本来の香りや味がダイレクトにお客様に伝わると思います。

これこそ葛!なのです。

和菓子屋とはやはり最上質のホンモノを使い、しっかりとお客様に本物とは何かを知っていただく、そんな大事な役割があると私は考えます。