松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



木型と打物

生まれた時から我が家に和菓子の道具が全て揃っている。

私が一番ありがたいと感じている事の一つであります。

和菓子屋を創業しようと考えた時、お店や工場の他に道具や機械全てを揃えなければ第一歩も踏み出すことはできません。

私の祖父が松屋長春を立ち上げ、父そして私へと受け継がれているので、だいたいのものは心配せずとも使う事ができています。

祖父母には感謝しなければなりません。

和菓子の大切な道具の一つに木型があります。



使い終わって洗った後の写真なので少し濡れているのはご容赦ください。

ここに夏用として使った木型があります。

左三つは祖父が買い揃えたもの。

一番右の水紋の木型だけは、私が栃木県に住んでおられる有名な彫り師のご自宅まで赴きオーダーして彫ってもらったものです。

木型は現在、彫り師が天然記念物よりも少なくなってきている状況であります。絶滅寸前なのです。

また、実際にオーダーして購入しようと思っても小さいもので5、6万円は平気でします。値段をケチるとそれ相応の木型しか出来上がらないものです。

一年間を通して心配なくこのような道具が揃う事のありがたさをあらためて気付かされます。

木型は彫り師の彫り方の癖が大きく出るもので、オーダーした時代時代で全く違うものが出来上がっています。また、木はものすごく硬いものが使われていますのでヘタリはないものの木の色や風合いが年を重ねるごとにより深みのあるものとなってきます。

おそらく、写真一番左端の撫子の木型が一番古いものでしょう。

さて、今年の夏の干菓子が揃いました。



干菓子の中の打物にも目を向けていただきたく、今日はこんな事を書きました。