松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



七三分け

昔のおじさんのイメージはパリッと七割、三割に分かれたヘアスタイル「七三分け」でした。

小さい頃、あの好きではなかった整髪料の香りが思い出してみますとプーンと今でも匂ってきそうであります。

「どうしてあんなイヤな匂いのものを髪の毛に付けるんだろう?大人になっても絶対にあのヘアスタイルとポマードだけは僕は付けない。」

そんな風に子供だった私は誓ったものです。

今あの匂いのする整髪料って無くなってしまったのかな?思い出のあの香りをどこへ行っても嗅がなくなった気がしています。

面白いもので、いざそうなってしまうと今度は意地でも探して、一度頭髪に付けてみたいと思ってしまいます。

時代が変わればヘアスタイルも変わるもので、昔は少し長めの髪で七三分けをしていたものが、今は裾を刈り込んだ短めの七三分けがお洒落でスタイリッシュであると捉えられているようです。

あんなに忌み嫌っていた七三分けとポマードだったのに、いつの間にやら澄ました顔で七三分けにヤナギヤのハードジェルを付けている私がいます。

とは言えども、三割の部分はバリカンで刈り上げているのでオーソドックスな七三分けスタイルではありませんが。

人の考えは時代を経て、歳を重ねる毎に移ろいゆくものです。

今、あまり好きではないものに対しても、将来それが好きでたまらなくなるやもしれません。そんな事を考えますと、頑固に「これはいい!これはダメ!」などと心に決めつけないことが大切だと気付かされます。

昔の私に「将来のキミは今嫌っている七三分けのヘアスタイルなんだぞ。そんなに嫌っちゃいけないよ」と諭してやりたいくらいであります。

前置きが長くなりました。



七三分けのきんとん、出来上がりました。

丹波大納言小豆と黒糖で濃厚、深いコクが特徴の大島きんとんと備中白小豆こしあんでつくったさっぱり口溶けのよい紅葉きんとんを七割三割の割合で仕上げています。