松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



二つの梅

身勝手な話で申し訳ございませんが。。。




年末年始にお店で並べる梅をデザインにした生菓子が何種類かあります。




年末年始に販売する梅の生菓子たちは「おめでたい」という意味合いでつくります。




例えばお正月に松竹梅や鶴亀などを題材にしたものはクラシックな和菓子であり、昔から広く知られているところです。




一方、本日ご紹介するようなこれから販売する梅を題材にした生菓子たちは「季節相応の」というストレートな意味合いでつくります。




二月後半から三月にかけて盛期を迎える梅を少しだけ先取りしてつくり始めるのです。




「早梅」








そう銘打ってお店に並びました。




深紅色がとてもいいアクセントとなっております。

触覚、味覚、嗅覚

柑橘類の金柑を使った羽二重餅製の生菓子です。








「果心」と銘打ってお店に並べております。




一番中心にキンカンを据え置き、それを口溶け素晴らしき備中白小豆のこしあんで包み、柔らかに仕立てた羽二重餅の生地でまとめてあります。




口の中で3種の素材が手を優しく握り合うように、バランスよく仕上げました。




鼻腔をくすぐるような爽やかな香りが特徴の生菓子であります。




この和菓子は手で掴んで柔らかさを感じていただき、味を楽しんでからキンカンの香りを鼻へと逃しながらお召し上がりいただきたいです。




要するに触覚→味覚→嗅覚




わたくしオススメのお召し上がり方であります。




この「果心」は蜜漬けしたキンカンが無くなり次第終売を迎えます。

クライマッチョ

映画「クライマッチョ」を観てきました。








クリントイーストウッド監督主演映画、それも監督をするようになってからちょうど50周年の記念作品ということもあって、余計に期待一杯喜び勇んで椅子に座った次第です。




クリントイーストウッドと言えば、マカロニウェスタンと呼ばれる西部劇(荒野の用心棒)やダーティハリーなどの派手な銃撃ものが印象深くイメージとして残っていますが、実際に監督になってからはおそらく自分がもともと追い求めていた人と人の絆、心の結びつきを題材にしたものを常に扱ってきたように思います。




あらすじは敢えてここでは書かないようにと肝に銘じておりますが、今回も家族の新しいかたちを垣間見させてもらい、強く胸を打つものがありました。




91歳を迎えて尚、人の心を揺さぶる作品をつくり続ける彼の貪欲さに感激しているところです。




「死ぬまで現役」




そう常に考え実行している父と彼が私の中で重なり、尊敬の念が余計に湧き上がってきます。




今回が最後の作品かもしれない。そう巷では言われていますが、これからももっともっと人間味溢れる作品を私たちに提供し続けて欲しいと願って止みません。




今回の映画を締める最後の曲、イーディーゴーメが歌う「サボール ア ミ」とオーラスの情景がとてもゴージャスでエレガントで。




今回、クリントイーストウッドが観客に一番見せたかった場面ではなかったかと私はそう思っています。




「一番好きな監督は誰?」




そう聞かれたら真っ先に




「クリントイーストウッド監督です。」




私は迷いなくそう答えるほど彼への愛で一杯です。




私が観た回は観客は私たった一人でした。








オミクロン禍が吹き荒れている今なので安心した反面、もっと多くの人に観てもらいたいと思っています。




彼がつくり上げる映画はみな、若い方々にはなかなか伝わらないものもあるかもしれませんが、私のような人生半分過ぎたようなオジサンには含みや深みが多く劇中に潜んでいて、じわじわとボディブローのように効いてくる素晴らしい映画たちなんです。




監督、いつまでもお元気で。




私はいつまでもあなたを追いかける所存であります。