松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



頭文字

「からころも(唐衣)




きつつなれにし(着つつ慣れにし)




つましあれば(妻しあれば)




はるばるきぬる(はるばる来ぬる)




たびをしぞおもふ(旅をしぞ思ふ)」




在原業平が都に残した妻の事を思い、カキツバタが咲き乱れる旅先で詠んだ詩であります。




この詩にはトリックがあり、頭文字を一文字ずつ読むと、か.き.つ.は.た、となります。




このトリックを明かすことによって、燕子花の季節だという事がわかります。




非常に趣き深き詩でありますし、気高さや妻への深い愛情が感じられ、在原業平の人格がこの詩から読み取ることができるようです。




少し前の事ですが、SNSの文章を書く時に頭文字を一文字ずつ取って不倫相手へメッセージを送ったという芸能人のゴシップがありましたが、カラクリは同じでもそれとこれとでは品位というものが天と地ほどもかけ離れていています。




非常に情けない話であります。




「人の振り見て我が振り直せ」とはよく言ったものですが、これからも人に胸を張って生きていきたいとあらためてそう思った次第です。




毎度の長い前置きとなりましたが。




私が修行先で習い、30年近く毎年松屋長春でも販売をしている「唐衣」と銘打った外郎製の生菓子が本日より販売を開始いたします。












紫と乳白色のファジーさが何とも魅力のある和菓子であります。

潮騒のソナタ

本日ご紹介いたしますこの和菓子をつくっていて




「ああ、そう言えばずっと海に行っていないなぁ」




そうハッと気づきました。




釣りに夢中になっていた頃は毎週のように海に出かけていたので、そんな感覚は全くなかったのですが、いざ海から遠ざかってしまうととても恋しくなるものです。




私が挙げる癒しの音はいくつもありますが、その中の一つに絶対に欠かせないと思っているのが「潮騒」です。




引いては寄せる海の調べは決して単調なものではありません。




潮の満ち引きや風や潮流などが複雑に関係し合いながらあの特別な気持ちのよいささやくような「潮騒」を聞かせてくれるのです。




無性に海へ行きたくなりました。




今度娘たちと一緒に行ってみよう。




毎度の事ですが、序章が長くなってしまいました。




貝をイメージさせた「浜づと」、本日より販売スタートであります。





主役

ものすごく久しぶりに「牛肉サラダ」をつくりました。








青葉はサンチュ、レタス、ベビーリーフ。そしてミニトマト。




牛肉を甘辛く味付けして真ん中に盛り付け、残ったタレをサラダの上から回しかけるだけ。















焼肉が冷めてから盛り付けると尚更よしです。




これだけでサラダだったものが一気に食事の主役に躍り出ます。




さあ召し上がれ。