松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



たわわに実る

元来、「たわわに実る」という言葉は果実に対して使うものであります。




柿などは特にたくさん実がなると枝が折れてしまうほど(実際に折れる事もしばしばあります。)にしなります。




まさにこの状況を「たわわに実る」と形容するのです。




藤の花は花なので「たわわに実る」とは言いませんが、そう形容したいほど花が首をもたげます。




本日ご紹介は、羽二重餅製の和菓子「藤波」。








藤の花房が風に揺れる様を波に見立てた言葉を「藤波」というのですが、ちょうどこの銘がしっくりする感じがしたので「藤波」としました。




この情景を私の感性で例えるならば「たわわに実る藤の花、風に吹かれて波のやう」とでも言いましょうか。




風流人になったような気分であります。