松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



うまみとコク

昨日、黒糖の葛をご紹介した事と思います。

本日も黒糖をたっぷり使った和菓子をご紹介させて下さい。



「大島きんとん」

材料は丹波大納言小豆です。

敢えて渋を切らずに漆黒に仕上げてあります。



これが丹波大納言小豆の生あんです。



そこへ黒糖を投入し、仕上げるのです。

一見、味噌のようにも見えるでしょうが、素晴らしい黒糖であります。私のお気に入りの黒糖です。



仕上がった黒糖あん。

漆のような深みのある黒色、そして黒糖あんの良さはその「照り」にあると思います。

この黒光り具合にこのあんの素晴らしさを感じます。

うまみとコク、唯一無二の存在であり、他に代わりは見つからない極上のあんです。

黒糖の季節です

おはようございます。

今週も引き続きお付き合いいただきますよう、よろしくお願いいたします。

先ほど、本日ジェイアール名古屋タカシマヤで販売する羽二重餅をお引き渡し完了したところです。

秋が近づいてくると、黒糖の季節が到来します。

黒糖を使った和菓子が順を追って徐々に店頭に並ぶようになります。

そのハシリがこの「宝笹」です。



中心にはこしあんを据え置き、そのまわりに黒糖を使った葛を纏わせました。

笹葉の心地よい香りと黒糖の香りとその独特の深い味わいが溶け合い、とてもいい菓子に仕上がっていると思っています。

夏の名残の葛、そして秋から冬の季節にぴったりの黒糖。

まさに季節と季節を繋ぐ、「はざま」の和菓子と言えそうです。

「ねぎらい」という魔法の言葉

やっと仕事終わりました。

今夜は次女と三女が夕飯を食べないと言ったので、お弁当でも買ってこようかと思っていたのですが、冷蔵庫に食材がたくさん入っていたので夕飯をつくることにしました。



冷凍海老とししとう、大葉にかぼちゃと茄子。

海老はできるだけ大きく見えるように開きました。

全てを天ぷらにして、日本酒と味醂と醤油。そして昆布と鰹節からとった出汁を加えて天つゆをつくり、天ぷらにくぐらせて天丼をつくりました。



両親と私と三人での夕飯。

楽しく三人で食べたのですが、いつもとは違う嬉しい事が一つありました。

普段は聞けない労いの言葉を両親からもらったのです。

「いつも大変な中、ご飯つくってくれてありがとう。今日も美味しかったよ。」

聞いた私は危うく声を出して泣きそうになりました。危なかったです。

簡単なようでなかなか口に出して言えない言葉かもしれませんが、それを受けた人間にとってはこれほど嬉しく感激する言葉はありません。

毎日食事の用意しててよかった。頑張ってきてよかった。

そう心から思いました。

こちらこそありがとう。

「ねぎらい」という魔法の言葉。

どれだけ近い人間どうしでも、どれだけ気を許している間柄でも、とっても必要だとあらためて感じた次第です。

がんばろう。またがんばろう。