松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



今日も長々とすみません

昔から「星に願いを」などという映画や音楽などでも常連となるような言葉がありますが、そのようなロマンティックでメルヘンチックな事を私は一度もした事がありません。




ロマンティックはロマンチックとも言いますが、メルヘンチックはどうしてメルヘンティックとは言わないのでしょう?




私はちょっとでもひっかかる事柄があると、それが気になって気になって仕方がなくなってしまうのです。




このどこまでも突き詰めてしまう性分を何とかしたいものです。




気になってしまったおかげで横道に逸れてしまいそうになりました。申し訳ございません。




「流れ星に願いをかける」というのもよく聞きますが、1秒間も光らないほどの時間に願などかけられるはずもないじゃないか、などと考えてしまう私はひねくれ者の筆頭株主なのでしょうか?




私とは真逆に位置する坂本九さんは日本を代表するロマンティストであり、もしかしたらメルヘンチストでもあるかもしれません。多くの人の心を打つ感動屋の代表格でもあると思います。




代表曲「上を向いて歩こう」では涙がこぼれないようにと明るいメロディにのせて歌い、もう一つの代表曲である「見上げてごらん夜空の星を」では幸せを祈る歌として人々に優しく寄り添ってくれました。




この二曲はどちらも下を向かないということを歌っています。




前向きであり、ステキなメロディも相まって気付いた頃には大好きな曲となっていました。




文章を書いていて、またここで気になってしまいました。




「下を向かない」と「前向き」は言ってみればどちらも同じような意味合いとして使われているのに、見ている方角が90度も違っています。どうして同じ意味として使うのに方角をかえてしまったんでしょうね。




金田一京助がもし生きていたなら、一度聞いてみたいものです。




また話が逸れてしまいました。




「上を向いて歩こう」はスキヤキソングという名前で全米ナンバーワンソングになりました。全米ナンバーワンになった歌手は日本で坂本九さん一人だけであります。




前置きが長くなりましたが、本日ご紹介の和菓子は葛製の「星の光」です。








中心に口溶けの良い北海小豆のこしあんを配し、周りにレモン果汁たっぷりの備中白小豆のこしあん。そして本葛100%で外側を涼しげに纏わせました。




夜空をまじまじと眺めて星と対話するというのは、夏が良さそうであるとどうしてもそう感じてしまうものですが、どう考えたって空気の澄んだ冬季がやはり一番であります。




しかし、七夕に代表されるように夜空にまつわるおはなしが多くありますのはやはり夏であります。




ご紹介いたしました葛製の蒸し菓子「星の光」をきっかけに、夜空を眺めるお時間を取っていただけましたら嬉しく思います。




たまには上を向いてみるのもいいものです。夜空って神秘的で魅力がたっぷり詰まってますものね。

ホンモノの美

稲沢市もそろそろ田植えが全て終わった頃であります。












緑と青のさかいめの美しさにしばし時間を忘れてしまいました。




小さな頃からずっと変わらず目にしているはずですが、毎年この時期になるとあらためて「これが私のこころの風景なのだ」と確認するのです。




用水のナマズや真鯉。そして白鷺の大群が田んぼに舞い降りる姿。




全部ひっくるめて私のこころの風景なのであります。




灯台下暗しとはこういう事をいうのですね。




実際に失ってからその大切さに気づくものなのです。




植物の力強さを一番感じるのが、ちょうど今なのではないかと私は思っています。




水が身体全体を潤し瑞々しさを増す。そして太陽の光が包み込み、風が優しくそっと頬をなでる。




早苗は自然の愛情をたっぷりと浴びてすくすくとこれからどんどん育っていきます。




春夏秋冬それぞれの空の色は違いますし、一言で稲と言いましても早苗の若緑色からぐんぐん育った濃緑色、そして刈り取られる寸前の黄金色まで千差万別です。




そんな季節各々のサインをふわっとキャッチできるような職人でありたい。いつもそう思っています。




私が大好きな景色たちは和菓子職人としての私の血となり肉となるでしょう。自然にしか出せない色彩はきっと和菓子職人としての私の感性に大きく寄与してくれることでしょう。




様々な事柄にアンテナをピン!と張り巡らせるのはとても大切な事であると思います。




しかし、こうしてふと気づくような美しいものに「ホンモノの美」は潜んでいるものです。




私は「ホンモノの美」にきっちりとフォーカスできるような人間を目指したい。




そのためには泰然自若でいなければならないと感じていますし、また常にありのままの自分であり続ける事がとても大切であると考えています。

vaundyと右團次

昨日、東京時代の友人がわざわざ顔を見せにきてくれました。




前にも書きましたが、彼は三重県の度会郡玉城町にある和菓子屋「野中屋」のご主人です。




長い時間話していましたが、私が一番頭に残った彼の話は




「ニシはvaundyに似てるよなぁ。カツラ被ったらどっちか分からんくらい似てるで。」











ですって。




似てるか?そんなに嬉しくねーし。




私はよく市川右團次に似てるって言われるのですが、これも自分ではよくわからん。








でも、vaundyか市川右團次かって言ったら市川右團次がいいな。




友人よ、久しぶりに会えて本当に嬉しかったよ。来てくれてありがとう。




でもな。心の中で思った事でももう少し相手が喜ぶ事を吟味して言いなさい。