松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



うなぎ

昨夜、鰻を焼きました。




出来上がったのは鰻ざくと鰻ごはん。












娘の友人のおじいちゃんが木曽川で鰻を釣って、それを持ってきてくれたのです。








養殖鰻でも貴重なのに、天然鰻。それも木曽川の鰻は聞くところによると特に極上だそうです。




おじいちゃんには感謝してもしきれません。ありがとうございます。




鰻と真剣に対峙する事が娘の友人のおじいちゃんに対しての私としての一番の御礼だと思います。




一生懸命心を込めてつくりました。




しかし最初から頓挫。




鰻のタレのつくり方がわからず、先日鰻の話を書いた時にご紹介しました友人「懐食しばた」のご主人に電話で伺ってタレから仕上げました。
















柴ちゃんありがとう。




柴ちゃんのおかげで既製品とは全く違う出来栄えになりました。




鰻ざくは名古屋式と言いますか、我が家の伝統的な味付けで少し甘みを強めに仕上げました。




鰻ごはんは鰻を焼いた時のタレ(鰻からの旨み充分のタレ)を白飯に加えたので、より濃厚に仕上がったと思います。




お盆営業が重なった今回は一週分休みが飛んでしまったので、二週間近く休み無しで働いています。




思いがけない嬉しいプレゼントをいただき、おかげさまで元気が出ました。




「長い物には巻かれろ」とよく言いますが、鰻には思いっきりマフラーのように巻かれたい私です。







やっぱり鰻は大好物不動の第一位であります。

清少納言と夕暮れ

「秋は夕暮れ」




清少納言がそう言ったように秋という季節は、やはり夕暮れどきに魅力を感じます。




たそがれてくると地平線が次第に紅く染まり、それが燃えたぎる火のようにゆらゆらと揺れるさまは、言葉を失ってしまうほどの美しさがあります。




本日より「SUNSET」(サンセット)と銘打ってお店に並べた新作です。








清少納言は春は明け方がよいとも語っています。




やうやう白くなりゆく(だんだん白々としてくる)と続けて書いているのですが、秋の夕陽がゆっくりと沈んで静かに紅く辺りを染めてゆく様子もやはり、(やうやう朱くなりゆく)と私はそう続けたくなります。




海と空のファジーな境界線、そしてあかね色の空の様子がしっかりとこの和菓子で表現できたのではないかと自分なりに納得しているところです。




ゆらゆらと静かに燃える姿を金箔と銀箔で表現しました。




写真でよりも実際に目にしていただきたい和菓子であります。

ダイナミック

まだまだ暑い日が続いております。




そのような時節に秋のおはなしをするのは少し気が引けますが、和菓子は季節を少し先取ってつくるのが習わしであったりしますのでご容赦ください。




秋の七草は萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花、藤袴、朝貌の花。




春の七草とは違って、食べられないものが多い秋の七草です。




本葛、撫子、萩に関しましてはすでに松屋長春の夏の和菓子としてご紹介していることと思います。




本日ご紹介の和菓子は桔梗(キキョウ)です。








そのまま常温でも、また冷蔵庫でひんやりさせても。それぞれの良さがある外郎生地です。




中は口溶けよく、味わい深い備中白小豆こしあんです。




この先、すすきの焼印なども追々お店に並べる予定です。




季節が過ぎゆくのはあっという間。




年齢を重ねる毎に月日が流れるのを速く感じるようになってきた気がしています。




人生は儚いものだと見紛いがちですが彩り豊かに、そしてダイナミックに生き抜いて行きたいと思っています。