松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



もと井マジック

私は食べに行ったお店の料理の中で特に美味しかったもの、その中でも家でなんとかイメージだけでできそうなものをチョイスして、出来るだけ早いタイミングで再現するように心がけています。




何年か前になりますが、ちょうど今の時期に友人でもある「京味もと井」さんでいただいたデザートがとても変わっていて美味しかったので翌日すぐに再現しました。




本井さん、パクってメンゴ。笑




ついこの間、長女が何かのタイミングで思い出したのでしょうか、「パパ、あの時のデザートをもう一回つくって!」と言い出しました。




はい、早速やってみましょう!と相成った次第です。




材料は梨と蒸し栗とココナッツミルク。この3点のみ。(当然砂糖は入れますが。)












今回は私のアレンジも放り込んじゃいました。




生クリームです。








全部サックリと混ぜ合わせて完成です。




秋の味覚と東南アジアのミルクの融合。




あらためて食べましたが、やっぱり最高に美味しかったです。




本井さん、アンタ天才だわ。よくこんなバランスの良い取り合わせ考えついたもんだね。尊敬します。




補足ですが、「京味もと井」さんは超有名な和食の名店です。




オーソドックスな和食の概念に囚われず、デザートではない料理の食材にもフルーツを大胆に使ったりしています。(今は前ほどあまりしていないですが。)




本井さんの想像力溢れるフルーツを使った料理を一番最初に食べた時はハンマーで頭を殴られたほどの衝撃を受けました。




あんな品をつくって出すのは本井さんだけです。やはり尊敬しかありません。

芋名月

中秋の名月(十五夜)ですが、今年は9月17日(火)となります。




真円に近い満月は当日しか楽しめないかもしれませんが、その前後数日も十分綺麗な満月に近いお月様が見られます。




十五夜の当日に拝む事ができますように。今年もそう願ってやみません。




毎年おはなししている事ですが、この名月の日には「芋名月」という別名があるんです。




月見は収穫祭の意味合いも含んでおり、里芋などの農作物をお供えする習慣があります。




余談ではありますが、約1カ月後の十三夜は「栗名月」と言われているんですよ。ここではこれ以上書きませんが、気になられた方は詳しく調べてみてくださいね。




本日ご紹介いたしますのは、まさにこの十五夜の和菓子であります。




里芋を模した形で仕上げた「芋名月」。




今年はほんのちょっとだけ香り付けしました。香りにつきましては手に取られてからのお楽しみとさせてください。





うすべにいろ

九月を境に「羽二重巻」のあんが薄紅色へと変わりました。




これから春先まで、この薄紅色でのご提供となります。




秋は紅葉、正月は年のはじめでおめで鯛、そして春になると梅にさくら。




そのような理由でこの薄紅色でのご提案となるのです。




「羽二重巻」は羽二重餅とは違い、季節を象徴する焼印を施しません。




かわりにあんの色合いで季節を表現するようにつくっているのです。




お召し上がりくださいます際に、あんの色合いからでも季節を感じていただけましたら嬉しく思います。