松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



儚くも

雨に、風に負けてしまいそうです。

そう書きましたのは桜の花のことで、一昨日までの雨と春風特有の突風に満開の桜の花が儚くも散り行きそうだと感じました。

今、人類は桜の花と同じように危機に突入してしまいました。

しかし、桜と同じようにならないように力一杯踏ん張らなければならない大事な局面であると思います。

今がとても大切です。しっかりとウイルスをストップできるのは私たち人間一人ひとりであるのだから。

余分な事を書いてしまいました。

本日は村雨製の生菓子のご紹介です。



村雨という伝統的な和菓子の生地については以前から何度もご説明してまいりました。

お時間のございます方は松屋長春ブログのアーカイブをご参照いただけましたらと思います。

本日はまた違った側面からこの村雨という和菓子をご紹介できたらと思います。

村雨という生地のほとんどがあんが占めています。

あんをそぼろ状にして固める訳でありますが、あんだけで蒸しますと、固まる要素が何も無いためにダラダラと溶けてしまいます。

それを防ぐために、また美味しさを引き立てるために「つなぎ」と私たちが呼ぶ材料を使用します。

「つなぎ」はうるち米の粉であったり餅米の粉であったりします。蒸し上げますと、その「つなぎ」が重要な役割を果たしてくれ、しっかりとその形を留めてくれるのです。

「つなぎ」がもたらす香りや味はあんだけが醸し出すそれらとは全くニュアンスが違うものとなります。

そのようなところを、あんとはまた別物となった村雨の特別な味わいや香りを感じ取っていただけましたら幸いであります。

風にふかれて舞い散る桜の花を表現したクラシックな和菓子のご紹介でした。