松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



三代目

突然ですが、この写真のもの、なんだかご存知でしょうか?



早速答えを書いてしまいますが、「竿秤」(さおばかり)と言います。

小さいものは薬など少量のものを測るため、大きなものはどれくらいのものであったのか私には想像はつきませんが、この「竿秤」は1.5キロまで測ることができる、おそらくは中サイズのものです。

松屋長春ではこの「竿秤」はとても大切な道具であります。粉類や砂糖などを測る時にこれを使うのですが、天秤ばかりやバネばかりやデジタルばかりよりも何倍も素早く測ることができるのでとても重宝しているのです。

うちのお店ではこれが無ければ仕事が成り立たないほど、それくらい大切なものなのであります。

写真をよく見ていただきますと、竿の部分が修復してあることがわかります。

実は一昨日、父が誤ってこの竿を折ってしまいました。創業以来、初めてのことです。

悪い事をした飼い犬がご主人様を上目遣いで申し訳なさそうに見上げるように、父も表現できないほどの表情を浮かべながら申し訳なさそうにしていました。

父が一生懸命修復したのですが、どうしようもならず、この二代目「竿秤」は志半ばで仕事を全うする事となりました。

実はこの「竿秤」は現在、おそらく需要が全く無いためであると思うのですが、新品として売っていません。(おそらく売っていないと思います。もし、販売店などご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひお教え下さい。)

途方に暮れていたところ、祖父が買っておいただろう使い古しの「竿秤」が倉庫から出てきました。

ホッと一息ついたところです。祖父に感謝ですね。

残すはこの祖父が遺してくれた最後の「竿秤」です。

この先ずっとずっと大切に使っていけるように、お互い気をつけましょう。そう父と話したところです。

「父ちゃん、私ではなくてあなたが気をつけなければならないんだぞ。」

あまり責めるといけないので、心の中でそっとこう呟いておきました。