松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



感謝

よく和菓子屋は起業するのがとても困難だと言われます。少なくとも私たちの業界ではそう言われています。

それは製菓機械を揃えるというばかりでなく、道具類を揃えるのが極めて難しいからであります。

道具類の中でも現在一番貴重なものの一つとして木型があります。

昔は彫り師が多く、木型に適したとても硬い木が多く存在しました。また、そうした木型を購入するにも比較的安価で仕入れられました。

しかし今は彫り師はもう数人しか残っていないそうで、木型を一つ注文するだけでウン万円もコストがかかってしまいます。

どの業界にも問題は山積するでしょうが、和菓子界にもこうした問題はたくさんあるのです。

先ほどおはなししました木型の一つを使ってこなし製の生菓子をつくりました。



もみじの木型を使ったものです。

木型はこちら



松屋長春の創業者である、祖父が購入したものです。

祖父が墨で書いた文字もそのまま残っています。

先代が遺してくれた木型や焼印、お店。

祖父、父、そして私へと受け継がれてきました。

こうしたものを大切に使わなければなりません。

感謝の毎日です。

置き土産

おはようございます。

長女のあづきは昨晩、東京へ帰っていきました。

今朝の3時半から仕事がスタートしたそうです。娘ながら、よく頑張っているなと感心したところです。



昨日、東京へ帰る前におはぎを作って置いていってくれました。

きな粉、胡麻、粒あん。

どれも素晴らしい美味しさ。

作り方を見ていたところ、私が考えていた製法と全く違うものでした。

製法だけでこれほど出来上がりの味が左右されるのだと、あらためて知る事になりました。

私がもしおはぎをどんなに一生懸命つくっても、娘がつくったおはぎには到底敵いません。それほどの出来栄えでした。

娘が戻って松屋長春の和菓子づくりに携わるようになった暁には、お店にこのおはぎを並べてもいいと思っています。

娘よ、しっかり勉強してるなぁ。なんだか嬉しかったよ。

ほんのちょっとした事でその頑張りがわかるものです。

誰にも負けない大きな愛で

働いている和菓子屋さんから三連休をいただいたようで、長女が東京から帰ってきました。

久しぶりの全員勢ぞろいです。

片親で不便な事もあったでしょうが、誰にも負けない愛情を持って私は娘三人に接してきたつもりです。そしてその揺るぎない自負が私にはあります。

また、娘たちも私を大切な仲間として認めてくれているので、家にいてもとても居心地良く過ごさせてもらっています。

家族に対して誠実に、友人たちにも誠実にを私の中の太くブレない軸としていつも心がけているつもりです。その結果、現在の私があるのではないかと思っています。

人として嘘偽りのない生き方を娘たちに見せる事も大切でしょうが、自分自身に対しても恥ずべきことがないよう真っ正面から人生にぶつかっていきたいと決心し直したところです。

長女はまた今日東京へ戻ります。

随分長い間、家族の優しさを浴びる事なく一人で過ごしてきました。

この三日間で、溢れんばかりの愛情を私たち家族から充填した事でしょう。



娘よ、また東京で頑張りなさい。
幾つもの大きな波を懸命に乗り切りなさい。

誰にも負けない大きな愛を持って、私は君をいつも応援してます。

愛情を欲した時にはまた帰っておいで。

娘にとっても私にとっても、とても有意義な三日間でした。