松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
傘となり盾となる
「雨が降る日は傘となり、風が吹く日は盾となる。」
今、考えると祖父母や両親の大きな愛に包まれて大きくなったように思います。
いや、52歳になろうとしている現在も両親からは小さい頃と同じような温かい愛情を変わらず感じながら毎日を送っています。
先日、私が赤子の時分から慣れ親しんできた岐阜県の川魚料理屋さんの事をふと思い出し、おそらく10年ぶりくらいに家族全員で食べに行ってきました。
岐阜県の木曽三川に囲まれた小さな村出身の祖父は現在の場所で創業してからも岐阜県への愛は変わらず持っていたようで、足繁く両親や私たち兄弟を伴って川魚料理屋へ行ったものです。
私のこの料理屋さんでの一番のお気に入りは「もろこの佃煮」。

祖父の一番の好物でもありました。
祖父からのたくさんの愛情が私にもこの「もろこの佃煮」にも注がれたのか、いつしか私の中の郷愁の味となったのです。
久しぶりに食べた思い出の味は昔となんら変わることなく、優しく深く包み込んでくれるような愛に満ち満ちたものでありました。
とても感激しました。
祖父母が、そして両親が私にしてくれたように私も娘たち3人をよくこのお店に連れてきていましたが、特別な理由はありませんが久しく遠いお店となってしまっていました。
「もろこの佃煮」という料理に縁遠い栃木県生まれの息子もたいそう気に入ってくれたようです。
祖父母から両親へ。両親から私へ。私から娘たちへ。
そして今は娘夫婦から新しい家族の一員となってくれた孫へ。
「雨が降る日は傘となり、風が吹く日は盾となる。」
祖父母から順番に受け継いできた、そんな深い愛情を娘夫婦から孫へとつないでいってほしい。
「もろこの佃煮」を食べながらずっと考えていました。
DNAも愛情も味もずっと続いていくものです。
松屋長春が醸し出す味というものも、この「もろこの佃煮」のようにいつもいつ食べてもずっと変わらないものでならなければなりません。
これからも一生懸命つないでいきます。