松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



特殊なあんです

季節は秋。

秋に突入しますと、肌に感ずる感覚も味覚にも少し変化が出てきます。

夏場は冷たい食べ物や食欲減退を少しでも増進させるような喉越しが良いものを好んで食べていましたが、涼しくなりますとしっかり目の味付けのもの、濃いめの味わいのものが多くなってくるようです。

私はビールが大好きですが、そのビールにもそれが顕著に出てきます。夏はホップの効いた爽やかな味わいでアルコール度数も低めの設定のものが多く、秋になればそれが一気にアルコール度数が高めになり、味も濃厚なものに取って代わります。

このように気づかないようですが、季節によって人の五感は敏感に反応するのでしょうね。

和菓子の世界におきましても少しずつ変化してまいります。

本日の表題「特殊なあん」は丹波大納言小豆から仕上げたあんの事です。



色味の濃い、大粒の丹波大納言小豆です。北海道の小豆とは明らかに違う外観。

この丹波大納言小豆を少しもったいないような気がしますが、こしあんにしたものが本日ご紹介のこしあんなのです。



こちらが絞ったばかりの丹波大納言小豆の生あんです。



仕上がったあんがこちら。

色目も非常に濃く、味も濃厚でうまみも充分です。

この丹波大納言小豆の生あんから沖縄産の黒糖を使用した大島あん、そしてプレーンのあんが出来上がります。また、羊羹などもこの生あんから仕上げます。

このあんはこれから冬にかけての限定のものとなります。それは最初にお話しました通り、季節にマッチした色や味となっているからです。

このあんを使った商品も多く店頭に並びました。

ご興味を持たれましたお客様におかれましては、店頭にておたずねくださいませ。

シンプルな図案の菊

本日ご紹介いたしますのは羽二重餅製の生菓子です。



光琳菊と名付けてお店に並べています。

昨年も光琳菊の生菓子をご紹介した際に、このお話をしているかもしれませんが。

光琳菊の光琳とは江戸時代を代表する尾形光琳のことです。この尾形光琳がデザインした光琳菊からこの和菓子は出来上がっています。



余分なものを一切排除したシンプルなデザイン。

菊の花をこのように一筆で描くところに巨匠の凄みがあるのかもしれません。また、このようなシンプルな図案が後世にもずっと広く使われるところに尾形光琳という画家の偉大さが垣間見られるのではないかと思っています。

一般的には織部薯蕷という和菓子にこの光琳菊は採用される事が多いと思います。松屋長春では今年はこの羽二重餅で光琳菊を表現しました。

この生菓子を手に取っていただく際にそのような背景なども知っていただけましたら、味覚までも変わってくるのではないかと考えます。

芋名月 今年は仕様をかえて

今年の十五夜は9月24日の月曜日です。

お天気の都合で毎年なかなかタイミングよく月をぱっちりと眺める事が叶いませんが、今年は綺麗な満月を見られたらいいですね。

期待せずにはいられません。

毎年お店に並べる芋名月



今年は仕様をかえてお出ししました。

例年ではシナモンをまぶし、茶色がかった生菓子でのご提供でしたが、シナモン自体が好き嫌いの多いものである事や色そのものが地味である事などを考慮し、今年はシンプルに白色で仕上げました。

ころっとした里芋の可愛らしさが出ていれば、作り手の私も納得です。

こちらの芋名月。非常に短期間での販売であります。

来週月曜日までの販売となります。