松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



変わりゆく山の景色

富士山が真っ白の帽子を被るようになってきました。

この間、とても美しい姿の富士山をニュースで見たところです。

山の景色は一年を通じて様々な顔を私たちに見せてくれます。

春の新緑の頃、夏の深く濃い緑の頃、秋の紅葉黄葉の頃、冬の雪化粧の頃。

四季の移ろいの色もありましょうが、山を照らす太陽の光によってもニュアンスが少しずつ違ってくるのも趣深いものであります。



画家、横山大観は多くの富士山の絵を残しました。

彼もまた山に魅入られた人だったのではないでしょうか。



冬の山と銘打ってお店に並べております。

山の形に成型し、冬の寒々とした山を表現しております。

こちらは羽二重餅製ですが、通常の羽二重餅とは少し仕様を変更してのご提案です。

お召し上がりになられた際に、普段の羽二重餅とは違った食感をお分かりいただけるのではないかと思います。

今回は「冬の山」のご紹介でしたが、あえて変更内容は申しません。接客の者にお尋ねください。

優しい思い出

羽二重餅製の「ころ柿」がお店に並びました。



この時期、柿の収穫を終えて干し柿が民家の軒先に並びます。

現在では私の近所にはそのような光景はほとんど見かけなくなってしまいましたが、このころ柿をつくる頃になりますと小さな頃の優しい思い出がほんのりと蘇ってきます。

私の近所にも多くの田んぼや畑が残っていて、稲刈りを終え枯れた田んぼでひとしきり遊んだ帰りにあかね空に照らされた干し柿や玉ねぎがぶら下がっていたのを今でも鮮明に思い出します。

近頃、マンション住まいなども多くなってきたこともあるでしょうが、ご近所同士の親密なお付き合いが希薄になっているなぁと感じる事があります。

わんぱくな小学生だった私は日が暮れるまで外で毎日遊びまわっていて、よく家族に心配をかけました。そんな時、近所の方々は家族と一緒になって私を探し回ってくれたものです。

そんな、優しい人たちに見守られて私は育ったのだという事もこの菓子を作りながら感謝とともに思い起こします。

50歳近くにもなりますと、昔の思い出も次第に薄れていくものもありますが、優しさいっぱいの素敵な情景はいつまでも心の中に残るものです。

私にとってこの生菓子はノスタルジックな気分にさせてくれる特別なものです。

秋の詰め合わせ

先ほど、本日新宿タカシマヤで販売いたします羽二重餅と季節の生菓子詰め合わせを無事にお引き渡しいたしました。

到着まで今しばらくお待ちくださいませ。



生菓子の詰め合わせです。

秋の色、秋の装いです。彩りも豊かで秋らしい配色になったのではと思います。

生菓子の詰め合わせは、箱に手に取ったものから順番に適当に詰めているように感じられているかもしれませんが、実はそうではありません。

基本的には地面から近いものは箱の下の方へ、そして空に近いものは箱の上部に配置します。それに加えて色の組み合わせを考えなくてはなりません。

それで箱詰めの配置がきちんと決まるのです。

ご購入の際に配置、配色などご希望をご指示されても面白いと思います。お店とはお店に携わる者とお客様とで育まれるものだと私は考えています。

ご来店された際、もしご希望の配置などございましたら何なりとお申し付けくださいませ。