松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



二つを重ねて

うぐいす餅、今年も店頭に並びました。



丹波大納言小豆の粒あんを抱き込んだ羽二重餅製のうぐいす餅。

上に振りかけるは香ばしさと味を重視したきな粉、そしてその上には色彩を重視したうぐいす粉です。

このように粉の特徴を生かして二重に施すうぐいす餅は当店だけのものかもしれません。

試行錯誤の結果、このようなうぐいす餅にたどり着きました。

これからお正月を挟んで2月まであたりの販売です。

家族サービス

「せっかく娘たちと休みの日が合ったのだから久しぶりに家族サービスしようかと思う」

こう高校時代からの親友に話したところ

「俺は家族サービスって言葉が大嫌いなんだ。家族にサービスをしてやってるっていう感じが出ているから。それは大間違いでお前が娘たちからサービスされているんだ。娘たちと出かけて嬉しいやろ?じゃ、サービスしてるんじゃないよな?だったらそんな言葉、使うな」

そう、間髪いれずに返ってきました。

なるほど。家族サービスという言葉について全く深く考えた事は無かったのでついつい簡単に当てはまる言葉を選んで使っていました。





私のお店のお客様の会社の大会長である相談役の方からお電話があり、こちらの会社主催の貸切公演にご招待いただきました。

シルクドソレイユのキュリオス!

とても行きたかったんです。



次女、三女と楽しんできました。

そう言えば、相談役のお電話の内容は

「この日の夜、時間ある?仕事で忙しいだろうけど時間があったら娘さんたちと一緒に楽しんできなさい」

そう、有り難いお言葉をかけていただき、チケットをいただきました。

家族サービスなんて言葉は出てきませんでした。

「娘たちと一緒に楽しむ」

これが正しいと改めて感じました。

私も楽しく幸せですが、娘たちも私と一緒に出かけて楽しく幸せ。

素晴らしい時間を家族で共有することなんです。

とてもいい事を二人に教えていただきました。

あと何年も経たないうちに次女と三女は私の元を離れていくでしょう。今、一緒にいられるうちにできるだけ幸せを娘たちと共有したいと思った夜でもありました。

言葉って難しい。でも、間違って使わないようにしっかり考えて使わなければいけません。

正月の準備 椿編

おはようございます。

昨日はお正月の花びら餅の重要部分を司るごぼうの仕上げについてお話いたしました。

本日は椿のお話をさせていただきます。

お正月前後に当店で販売いたします椿餅。備中白小豆の粒あんを羽二重餅で包んだ生菓子なのですが、一番最後の仕上げに椿の葉2枚で包んだ羽二重餅を挟み込むのです。

その椿の葉もごぼうの缶詰と同じく売ってはいるのですが、やはり納得いくものがなかなか無いのか現実です。

椿の葉と言えども反ったものは当然使う事が出来ません。生菓子の下にひく葉などは反っていると真っ直ぐに生菓子が落ち着かないからであります。また葉の表面にお照りの無いものは見栄えが悪く、使えません。

自分のお眼鏡に叶う椿の葉をと思うとやはり自分で調達しなければならなくなるのです。



少し肌寒い昼下がりにお店のみなさんと一緒に摘みに行ってきました。



納得いく葉を調達できました。しかし、これだけではまだ足りないので別の日にもう一度摘みに行く予定です。

せっかく外に出たので、稲沢市の銘菓ベニサザンカの花も一緒に摘みました。



ベニサザンカは今が満開の時期。

これから真紅に染まった美しいベニサザンカの花を茹で上げて夏のベニサザンカに使用する3カ月分を保存する事にします。

これで一安心です。

お正月の準備やベニサザンカの花摘みなど、年末は普段の仕事以外にもやる事が盛りだくさんなのです。

毎年師走に突入しますと、一日が25,6時間あったらなぁなどど叶いもしないような事を思案するようになります。