松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



仕込み

生菓子は準備から製品になるまで一気に仕上げ切ってしまうものもあれば、そうでないものもあります。

前日の夜に下準備まで終えておくものもあります。

また、敢えて冷蔵庫で寝かせておく生菓子などもあります。

それぞれの菓子の特性に合った製法で仕上げるのが、私たちプロの仕事ではないかと考えております。

それは代々受け継がれてきた教えも当然ありますが、自分自身が今まで経験してきた失敗と成功の繰り返しによってのものも少なからずあります。

色合いであったり、生地やあんのかたさ一つであったり、成型の腕であったりと一朝一夕では成し得られないものがそこにあります。

この世界に入ってはや30年経ちましたが、未だに失敗もしますしうっかりもあります。いつまでたっても立派な職人にはなれそうもありません。

本日は下準備のおはなしです。



紫色に染め上げた備中白小豆のこしあんで北海小豆のこしあんを包み、頂に黄色を配しました。

ここまでが下準備の段階です。

ここからが本仕上げとなるのですが。

出来上がった生菓子は明日のご紹介といたします。

少し趣向を変えて

ちょうどゴールデンウィークを過ぎたあたりでしょうか、私の地元を流れる木曽川の中流域を海から遡上してきた稚鮎の大群が上流へ向かって通り過ぎていきます。

同じように海から上流を目指すサツキマスを釣りに行く私は川へ入るので、驚くような多さの鮎が元気に泳ぐ姿を間近で見る事ができます。

今年もそんな季節がやってまいりました。



鮎の遡上に合わせ、羽二重餅も少し趣向を変えてお出ししました。

ブルーの生地に緑。そして鮎の焼印を施しました。

清流の鮎たちが元気に泳ぎ、苔を食む様をこの菓子から想像していただけましたら嬉しいです。

石の上にも

五月五日の端午の節句が終わりました。

松屋長春も支えてくれる皆さんの頑張りのおかげで無事にこの繁忙期を乗り切る事が出来ました。皆さんの助け無くして松屋長春は成り立ちません。もちろんそうでありますし、常にいつもそう心に留めております。

皆さん、本当にお疲れ様でした。そして本当にありがとう。

また、今年は次女と三女もフルスロットルで活躍してくれました。そして義妹と姪の二人も一生懸命お手伝いしてくれました。

この松屋長春という小さくてもとても重い船を全員が同じ気持ちで漕がなければ、か弱い船などあっという間に沈んでしまうでしょう。

今までお店を支えてくれた全ての皆さんの頑張りの上に創業84年の松屋長春がある事を忘れてはいけません。

そのような事に思いを巡らせると感謝の一文字しかありません。



東京の和菓子屋で働く長女も私たちと同じように、ゴールデンウィークは朝2時前からの出勤だったそうです。

よく頑張って乗り切ったね。

そう、労ったところです。

大変な事でしょうが、それを乗り越えて我慢を知り忍耐力のある人間へと成長するのだと自分を鼓舞して頑張って欲しいものです。

石の上にも三年。

三年、そしてまた三年と続けることによって長い長い歴史が出来上がるのです。

頑張れ!

私も負けないよう頑張る。