松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



今週のラインナップ

おはようございます。

今週も松屋長春の営業、開始いたしました。

変わらぬお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。



今週のラインナップです。

若あゆだけはまだ揃えておりませんが、こちらで全ての生菓子となります。

ギフト

心と心を重ねた幼馴染とお別れしてから二年が経とうとしています。



彼が癌であると私に伝えたのはちょうど三年前のこと。

三年前に私が書いた文です。
https://ameblo.jp/aruheito/entry-12175136312.html

抗がん剤治療により髪の毛が抜けてしまい、「元気がないよ」と弱気な言葉を並べる彼を少しでも元気付けられないかと、私も髪の毛を思い切って刈り込みました。写真はその時に写したものです。彼にメッセージを添えて送りました。

人生一度きりの超丸坊主です。

その時でしょうか。彼に対しての心配も当然ありましたが、私自身は別の事においても大きく心を乱していた時期でもありました。

そんな時、彼からのカミングアウトに呼応するように髪の毛を削ぎ落とした事で余計な雑念や邪気までも拭い去れたような気がしました。不思議と心が晴れて穏やかな心持ちになったのです。

心を整え直し、平常通りの毎日を送ることができるようになったのは彼のおかげではないかといつもそう考え、感謝しています。

目を閉じてみると、今でも彼の屈託のない優しい笑顔と声がはっきりと見えます。

スピリチュアルな事は私にはよくわかりませんが、遺された者にとって逝ってしまった者が私に置いていってくれた大切なものをいつまでも忘れない事が大切なのだと思います。

彼はたくさんのお土産を私に置いていってくれました。それを自分なりに噛み砕いて自分の人生に役立てているつもりです。

心と心を重ね合ったあの日にはどうしたって戻る事はできませんが、私の心の奥底には彼の真っ直ぐな意志が今も変わらず息づいています。

逝ってしまった者、そして遺された者。それぞれの役目があるのではないかと考えています。

彼は私に対して充分その役目を果たしてくれました。今度は私がそれを体現する番であると思います。

彼の意志を胸に留め、これからも真っ直ぐに生きていきたいです。

今を生きよう、懸命に生きよう、そして人生を楽しんで生きよう、彼のためにも。

そう誓い直しました。

「人生を終える時に後悔しないよう、一生懸命生きなさい」

これが彼が私に遺したギフトです。

浜土産

浜土産



「はまづと」と読みます。

浜土産とは真逆の山土産(やまづと)があります。

浜土産はその漢字の通り海の恵みを表し、山土産は山の恵みを表すものとして知られています。

海の恵みを代表するものに貝があります。

その貝を模した蕎麦薯蕷の蒸し菓子がこの浜づととなります。

ふんわり伊勢芋主体の生地に蕎麦とうるち米の粉をブレンドした色合いが優しく出ていると思います。

浜づとは一般的に夏の菓子。そして山づとは秋の菓子。

そんな風に季節を表す枕詞のように和菓子界では使い分けるものであります。