松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



栗ようかん

昨日ご案内しました柚子のようかんに続きまして、栗ようかんもお店に並びました。



栗をふんだんに使って仕上げております。

あんは丹波大納言小豆のこしあんを使用しておりますので、栗とあん共に深いコクのある取り合わせです。

どこを切っても栗が顔を見せてくれます。

栗が市場で動き始めましたので、これから先はどんどん栗を使った和菓子をご紹介していきたいと思います。

柚子の香り豊かに

柚子の皮と果汁をたっぷり使った柚子羊羹が出来上がりました。



羊羹は甘い!

甘すぎるようなイメージがとても強い和菓子のジャンルであると思いますが、実はそうではありません。

小豆そのものの香りや味わいがストレートに伝わる、和菓子のジャンルの中でも稀有な存在であると私は思っています。

備中白小豆のこしあんに柚子の力強く爽やかなテイストが加わり、よりスッキリとお召し上がりいただける羊羹へと昇華しております。

秋の風が気持ち良く吹き抜けるこの時期ならではの羊羹です。

シンプルな羽二重餅

武蔵野



そう銘打って羽二重餅製の生菓子をお店に並べました。

中は丹波大納言小豆の粒あんです。

武蔵野という名前はどこから来ているのかを本日はおはなしいたします。

大きな平原が広がった関東の地域のことを武蔵野と呼びます。

江戸時代前にはその平原にはすすき野が地平線の彼方まで続いていたそうです。すすき野には名月が付き物で、すすきと満月という組み合わせイコール「武蔵野」と言われるほど全国にもその名が知られていました。

しかし、その頃から焼畑農業がどんどん推し進められて次第にすすき野の姿は無くなっていき、現在では素晴らしかったすすきと名月の組み合わせは忘れ去られてしまいました。

古き良きすすき野の名残りとして、「武蔵野」という名前だけが記憶の形として語り続けられているのです。

時代の変化とともに自然の豊かさが身近なところから失われていくことに、とても寂しさを感じるのは私だけでしょうか。

和菓子はこうした自然との関係がとても深いものも少なくありません。できましたら現在進行形での素晴らしい自然を題材に職人として携わっていきたいと思っております。

便利な世の中とは逆行する自然ですが、私たちの生活にもとても大切なものです。いつまでも守り続けなければなりません。