松屋長春の和菓子便り

尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。



ゆるやかに

毎朝、一等最初の仕事は釜に火をつける事であります。

毎日豆を煮て、あんを炊きます。



昨日仕上げた丹波大納言小豆の粒あんです。



今日も渋切りという作業を終えたところです。

ついこの間まで「暑い熱い!」と口癖のように言っていた私ですが、幾分か酷暑もゆるやかになってきたように感じます。

とは言いましても、毎日Tシャツは5枚ほどは着替えて使ってしまいますが。

和菓子屋の仕事はやはり夏よりも冬の方が随分楽だと思います。

しかし昔は当たり前のようにお湯も出ませんし、現在のような暖房機器なども充実していませんでしたので、夏も冬も同じように多くの苦労があった事と容易に想像がつきます。

先人達の苦労に比べれば、現在の苦労など大したことではないはずです。

文明の発展に感謝しながら、今ある環境にも満足して仕事に打ち込まなければなりません。

涼しくなるまであともう少し。

しばらくは我慢の日々が続きます。

くりかおるもち

栗、香る餅と書いて「栗香餅」と呼びます。



松屋長春の毎年の定番和菓子です。

例年ならば楕円形に成型するところですが、今年は円形にしました。

つくっている本人はこれだけでも少し気持ち新たになるというものです。

羽二重餅の生地に栗をたくさん折り込み、中には丹波大納言小豆の粒あんを配しました。

栗のゴツゴツしながらもホクホクとした食感と羽二重餅のフカフカの食感、そして丹波大納言小豆の艶やかでふくよかな風味が上手にバランス良く仕上がっていると思います。

この「栗香餅」をご希望のお客様が多いため、この先息長くお店に並べるつもりです。

栗を使った和菓子、これからどんどん出てまいります。

このようになってきますと、いよいよ心は秋の装いとなってくるようです。