松屋長春の和菓子便り
尾張稲沢の和菓子店、松屋長春の毎日を皆様にお届けします。 末長くお付き合いをよろしくお願いいたします。
私が和菓子に生クリームやフルーツを使わない理由
「最もクラシックな和菓子」

そう形容できる薯蕷製の蒸し菓子がお店に並びました。
織部のデザインに蕨の焼印を施してあります。
和洋折衷。
例えば生クリームやフルーツを入れた和菓子は自分や家族やパートさん用につくって食べる事があるのですが、とても美味しくて、それはそれで「おやつ」として素晴らしいものである事は間違いありませんが、それは父や私の考えとはまた違ったところにあります。
私が勉強した京都の「末富」の大旦那さんも和菓子の王道をとことん追い求めた方で、修行中もその考えをしっかりと叩き込まれました。
「和菓子のお店には様々なかたちがある。御菓子屋、朝生屋、餅屋などがそうだ。君たちは御菓子屋になりなさい。和菓子それぞれには意味があるのだ。四季を感じられるもの、一年の行事につきものの菓子など。必ず和菓子には意味があり、つくる和菓子には意味を持たせなければならない。志を高く持ってプライドを持ちながら頑張りなさい。決しておやつ屋にはなるんじゃないぞ。」
何度も何度も聞かされました。
今でも自分の胸にしっかりとその考えを留めながら仕事をしています。
自分の和菓子職人としての役割についていつも考えていますが、
「和菓子とはなんぞや?」
これをしっかり追求しながら、お客様にも和菓子の知識を深めていただくことがとても大切であると思います。
このブログでもご紹介した和菓子の意味、由来などを書いているのはそんな理由からであります。
前衛的な和菓子職人ばかりでなく、こんな頑固な考えの職人がいても面白いのではないでしょうか。
和菓子の伝統を守るべく、レールにしっかりと乗った和菓子をつくりながら、これからも和菓子の意味や由来をこのブログにて記していきたいと思っています。